新型コロナの感染急拡大を受け、規制をさらに強化

(オランダ)

アムステルダム発

2021年11月16日

オランダのマルク・ルッテ首相とヒューホ・デ=ヨンゲ保健・福祉・スポーツ相は11月12日、記者会見で新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた新たな措置を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同月2日に規制の再強化を発表(2021年11月4日記事参照)したばかりだが、感染の急拡大が止まらず、医療機関の逼迫を避けるためさらに措置を強化することとなった。今回発表した内容は主に以下の3点で、(1)の短期的な対策については11月13日午後6時から既に適用を開始しており、少なくとも12月4日まで継続するとした。政府は12月3日に状況を再評価する。

(1)短期的な対策

  • コロナエントリー・パス(ワクチン接種証明、24時間以内の陰性証明、回復証明)が不要な場所では、他者と1.5メートルの社会的距離を保つ。
  • コロナエントリー・パスが不要なエリアや会場でマスク着用を義務付ける。
  • 生活に必須でない商品(衣料品店など)を扱う店舗や、美容院など接触のあるサービス、カジノなどの営業時間は午後6時まで。
  • 飲食店や生活必需品を販売する店舗(スーパーマーケット、薬局、ペットショップなど)の営業時間は午後8時まで。
  • 飲食店ではコロナエントリー・パスの提示と着席を義務付ける。
  • イベントはコロナエントリー・パスの提示と着席を義務付ける。開催時間は午後6時まで。1施設の収容人員の上限は1,250人。ただし、映画、劇場、コンサートホールなどの芸術・文化施設には午後6時閉鎖は適用されない。
  • スポーツ試合はプロ・アマを問わず無観客とする。
  • 在宅勤務は「不可能でない限り在宅勤務」を要請。
  • 自宅への来訪者は1日4人まで。
  • 家族に新型コロナウイルス感染の陽性者が出た場合、陽性者は自主隔離をし、同居する家族もワクチン接種の有無にかかわらず自主隔離が必要。
  • 中等職業学校(MBO)、高等教育機関〔高等職業学校(HBO)、大学〕では、1教室の収容人数はスタッフを除き75人まで。ただし、試験会場は対象外。

なお、政府は上記措置の影響を受ける小売業者や飲食店などに対し、財政的支援措置を行うとした。詳細は11月15日の週に発表される予定。

(2)長期的な対策(コロナエントリー・パスの運用拡大)

今後数週間で状況が好転して新規感染者数が減少した場合、社会活動を安全に再開させるとともに、コロナエントリー・パスをほとんどの店舗や動物園、遊園地などに適用できるよう法制化を進める。法制化が実現すれば、雇用主が職場でコロナエントリー・パスを確認することが可能となる。雇用主は、職場でのコロナエントリー・パスの適用方法として、3G証明(ワクチン接種証明書、回復証明、各種検査による陰性証明のいずれか)による座席指定とするか、2G証明(ワクチン接種証明書または回復証明)によって座席指定なしとするか選択することが可能となる。本草案は近く議会に提出される。

(3)ブースター接種の開始

11月19日から、保健所に来ることができる80歳以上の人、18歳以上の要介護施設の入居者、患者と接する医療従事者を対象に開始する。

(下笠哲太郎)

(オランダ)

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