アンジェスとカナダ医薬品バソミューン、米加両政府から新型コロナ薬開発の助成金獲得

(米国、カナダ、日本)

米州課

2021年11月11日

アンジェス(本社:大阪府茨木市)は11月9日、カナダのバイオ医薬品会社バソミューン・セラピューティクス(本社:オンタリオ州)と共同開発を進めている新型コロナウイルス治療薬「AV-001」について、米国とカナダの両政府から助成金を獲得したことを発表した。米国防総省の医療研究プログラム(PRMRP)から最大640万ドル、カナダ政府の新型コロナウイルス治療薬開発支援の一環のプログラム(NRC IRAP)から最大280万カナダ・ドル(約2億5,480万円、Cドル、1Cドル=約91円)を受け取る。

バソミューンは2020年8月にも米国防総省から280万ドル、2021年3月にカナダ政府の同プログラムから助成金を受け取っている。アンジェスは、これらバソミューンが獲得した助成金と今後獲得する助成金について、開発費負担分に応じて受領し、営業外収益の補助金収入に計上するとしている。

開発中の治療薬「AV-001」は、血管内皮細胞表面に最も多く表現する膜貫通型タンパク質のTie2受容体を標的としたもので、重度の新型コロナウイルス感染患者や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療薬として開発が進められている。2020年12月から米国で開始した第1相臨床試験では、AV-001の安全性と忍容性が確認されたとしている。今回獲得した米国の助成金は重度の新型コロナ患者を対象とした前期第2相臨床試験に活用され、カナダの助成金は第1相臨床開発およびカナダ保健省への臨床試験申請に必要なその他の試験に活用される。

アンジェスの山田英社長兼最高経営責任者(CEO)は今回の発表について、「新型コロナウイルス感染症に対する戦略的アプローチとして、重度患者の治療のためのAV-001と感染予防用ワクチンの2軸で開発を進める。AV-001の臨床開発を推し進めるための助成金に大変感謝している」と述べた。バソミューンのダグラス・ハミルトン社長兼CEOも同様に感謝を述べ、「前臨床試験のデータでは、AV001 の作用機序が変異株を含む新型コロナウイルス感染症の死亡率と罹患率を減少させる可能性を示唆している」とした。

(大塚真子)

(米国、カナダ、日本)

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