米アリゾナ州、2030年までに72万人の雇用増予測、ハイテク産業への大規模投資が一因

(米国)

ロサンゼルス発

2021年11月10日

米国アリゾナ州経済機会局(OEO)は11月8日、同州の雇用者数が2020年の303万人から2030年には375万人となり、10年間で72万人増加するという予測を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。これは年平均2.2%の増加に相当し、米国平均の見込み(0.7%増)や、5月に発表した前回予測の1.6%増(2021年5月12日記事参照)を上回る。

業種別では、教育・ヘルスケアサービス(年平均3.2%増)、建設(2.7%増)、娯楽・ホスピタリティー(2.7%増)、専門ビジネスサービス(2.3%増)、金融業(2.0%増)、製造業(2.0%増)などで増加を見込んでいる。一方、政府部門(0.2%減)は雇用者数が減少するとみられる。

地域別にみると、州都フェニックスを擁し同州で最大の人口規模を誇るマリコパ郡(年平均2.4%増)の増加見込み率が高く、次いで同郡に隣接するピナル郡(2.2%増)が続き、全ての郡で雇用増を予測する。

同州のダグラス・デュシー知事は声明で「アリゾナ州は、半導体や電気自動車(EV)の製造、新興企業など、主要なハイテク・高賃金産業の進出先として注目されている。今後10年間、アリゾナ州は人、企業、仕事の移転先として米国のリーダーであり続ける」と述べている。

防衛産業や軍事技術と関係性の高い電気・電子産業が集積するアリゾナ州では、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)や米国半導体大手インテルが新規の半導体工場の建設を進めている(2021年9月30日記事参照)。また、エネルギー貯蔵や電気輸送業界向けのバッテリーセル技術を開発する米KOREパワーがリチウムイオン電池セルを生産する工場の建設を進めているほか、米国EVメーカーのルーシッド・モーターズ(Lucid Motors)が製造施設の拡張工事を進めている。こうした製造業による大規模な投資が関連産業も含めた雇用押し上げの一因になっているとみられる。

こうした中、アリゾナ州は移住先としても注目を集めている。不動産仲介サイトを運営しているレッドフィンはユーザー330万人の検索結果を分析し、移住先の都市としてフェニックス(注)が全米で2番目に人気が高く(1位はフロリダ州マイアミ)、ロサンゼルスからの移住が最多と報告している〔2021年第3四半期(7~9月)時点〕。

(注)米国の最新の国勢調査結果によると、フェニックスは、2010年から2020年にかけての人口増加率が11.2%で人口上位の10大都市の中でトップ。人口は144万5,632人から160万8,139人に増加(2021年10月14日付地域・分析レポート参照)。

(永田光)

(米国)

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