ブルナビッチ政権、発足後1年を総括

(セルビア)

ウィーン発

2021年11月09日

セルビアで11月2日、アナ・ブルナビッチ首相が政権発足(2020年11月4日記事参照)後1年の総括発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、セルビアはさまざまな課題に直面してきたが、それにもかかわらず経済の安定性が保たれてきたことに満足していると述べた。ブルナビッチ首相は、政府が現在直面している最大の課題は、(1)現在も進行中の新型コロナウイルスのパンデミック問題、(2)在コソボのセルビア人に対する攻撃とコソボ政府の挑発行為による地域の不安定性、(3)予期せぬエネルギー問題による経済への打撃などだと述べた。

続いて、過去1年間の政府の活動について以下のとおり要約した。

○経済の安定化

パンデミックの状況下でも、(1)失業率の増加を抑えた上に、雇用を増加させ、(2)多くの外国投資を誘致し、(3)給与(特に医療従事者)や年金を増加させ、(4)インフラプロジェクトを継続した結果、2021年のGDP成長率は予測6%を上回って7%を超えることが確実。

○「新型コロナ禍」での医療体制

新型コロナウイルスのよるパンデミック問題に関しては、セルビアは欧州の中でいち早く4種類のワクチンを確保したことに加えて、現在、スプートニクV、シノファームの2種類のワクチン製造に着手している。また、2020年はベオグラード近郊のバッタイニツァとクルシェバッツに、そして2021年9月にはノビ・サドに計2,000床を超える最新設備を備えた感染症専門病院を短期間で建設した。

○EU加盟交渉

EU加盟交渉に関しては、セルビア政府は「法の支配」の改革に集中して取り組んでいる。(そのことが評価されたため)欧州委員会は、セルビアとの加盟交渉においてさらに2つの「章」を開くようEU加盟国に勧告している。

なお、コソボ問題については、2008年のコソボの一方的な独立宣言以降最大となる年114回の在コソボのセルビア人に対する攻撃が行われたとするデータを提示し、2021年9月と10月にはコソボ政府による挑発行為があったことにも言及したが、アレクサンダル・ブチッチ大統領の冷静で賢明な政治的判断により、平和と安定を保つことができたと述べた。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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