韓国、カンボジアとのFTA署名、自動車関税など即時撤廃

(韓国、カンボジア)

ソウル発

2021年11月04日

韓国産業通商資源部は10月26日、同部のヨ・ハング通商交渉本部長とカンボジアのパン・ソラサック商業相との間で、韓国・カンボジア自由貿易協定(FTA)に署名したと発表した。このFTAは、2019年3月に文在寅(ムン・ジェイン)大統領がカンボジアを訪問した際に、両国首脳間で2国間FTAの推進に合意し、同年11月に釜山で開催された韓国・ASEAN特別首脳会議で共同研究の開始を宣言した。その後、2020年7月の交渉開始後に4回の交渉を経て、2021年2月に妥結を宣言していた。

同FTAの主な内容は以下のとおり。

1.市場アクセス

(1)地域的な包括的経済連携(RCEP)協定と韓国・カンボジアFTAを通じ、品目数ベースで韓国は95.6%、カンボジアは93.8%の関税を撤廃する。韓国からカンボジアへの主要輸出品目である貨物自動車(関税率15%)、乗用車(同35%)に対する関税を発効後に即時撤廃し、今後も需要が増えると見込まれる建設機械(同15%)や産業機械(同15%)は発効後10年で撤廃する。

(2)農林水産品については、カンボジア側のイチゴとナシの関税(ともに関税率7%)は即時撤廃し、しょうゆ(同15%)は発効後10年で撤廃する。韓国側は、マンゴー、コメ、トウモロコシ、エビなど、ほとんどの品目を既存のFTA(注)の範囲内で譲許する。

(3)カンボジアの主要な輸出製品の繊維については、カンボジア側がニット(関税率7%)、韓国側がニット衣類(同5%)などに対する関税をそれぞれ撤廃してサプライチェーンの強化を図る。

2.原産地規則

繊維製品の加工工程基準では輸出国側で裁断・縫製を全て行わないと原産地認定を受けられないが、韓国・カンボジアFTAでは、このような要件を削除し、自国内で裁断・縫製をほとんど行っていない韓国の繊維関連企業の特恵関税の適用を容易にする。

3.貿易円滑化

韓国企業の通関リスク軽減のため、品目分類や関税評価、原産地に関し、事前教示制度を導入する。

今後、韓国側は同FTAの国会の批准承認など国内手続きを開始する。両国の批准完了を通報した60日後に正式に発効する予定。

(注)RCEP協定、韓国・ベトナムFTA、韓国・インドネシア包括的経済連携協定(CEPA)など。

(当間正明)

(韓国、カンボジア)

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