大統領候補1人が新型コロナ陽性、他候補者の選挙活動にも影響

(チリ)

サンティアゴ発

2021年11月08日

チリで11月21日に行われる大統領選挙に立候補している左派連合(Apruebo Dignidad)の候補者ガブリエル・ボリッチ氏は、11月3日に自身のツイッター上で発熱などの新型コロナウイルス関連の症状が出たためPCR検査を行ったところ、陽性だったと発表した。

保健当局は、同氏の濃厚接触者は54人に上ると伝えており、その中には、ボリッチ氏と共に大統領選へ向けた公開討論に出席していたセバスティアン・シチェル氏、ホセ・アントニオ・カスト氏、マルコ・エンリケス-オミナミ氏、ジャスナ・プロボステ氏、エドゥアルド・アルテス氏の5人の次期大統領候補者も含まれている。これにより、当のボリッチ氏は10日間、濃厚接触者は7日間の隔離の実施を義務付けられた。

エンリケ・パリス保健相は、濃厚接触者となった大統領候補者らがボリッチ氏の陽性発表後にPCR検査を行って陰性だった場合にも、隔離期間を短縮することはできないとコメントしている。選挙活動期間は11月18日までと定められていることから、7人の大統領候補者のうちの6人が、本隔離によって活動計画の大幅な変更を強いられることとなった。

民間調査会社のカデム(cadem)が10月27~29日に18歳以上の男女を対象に実施した、大統領選についての最新の世論調査では、右派の共和党(PLR)のカスト氏の人気が24%で最多となり、続いて、ボリッチ氏(19%)、中道左派連合(Nuevo Pacto Social)のプロボステ氏(11%)、中道右派連合(Chile Podemos Más)のシチェル氏(8%)、人民党(PDG)のフランコ・パリシ氏(7%)、進歩党(PRO)エンリケス-オミナミ氏(4%)、愛国連合(UPA)のアルテス氏(1%)の順だった。一方で、投票する候補者が未定という回答も全体の26%と多くを占め、次期大統領選へ向けた国内の情勢が非常に不安定な状況が浮き彫りとなった。

(岡戸美澪)

(チリ)

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