クボタ、地場農機メーカー・エスコーツの子会社化に向け追加出資へ

(インド)

ニューデリー発

2021年11月26日

クボタは11月18日、インドの地場大手トラクタメーカーのエスコーツに対して追加出資PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を行うことを発表した。クボタはエスコーツへの出資比率を現在の9.09%から最大53.50%にまで引き上げ、子会社化を図る。追加出資額は最大約1,406億円となり、2022年3月までに第三者割当増資の引き受け(約281億円)と株式公開買い付け(約1,125億円)を行う予定だ。

クボタは、エスコーツが持つ生産・販売両面の国内ネットワークを活用し、インド市場での存在感を高めていく狙いだ。また、同社によると、インドで求められる安価で高品質なトラクターは、インド国外の需要にも応えられる可能性があることから、クボタの海外ネットワークを活用し、将来的にはインド国内のみならず近隣のアジア諸国や欧州、アフリカにも積極的に市場展開を図っていくとしている。

クボタは2008年、現地法人としてクボタ農業機械インドを設立してインド市場に参入。以降は主に東南アジアで製造したトラクターといった農業機械などの輸入販売を行ってきた。一方で、インド国内で現地生産を行う可能性も模索していた。折しも、インドで製造した比較的安価な製品を国外に輸出したい意向のあったエスコーツとの間で合意に至り、2019年2月にトラクター製造の合弁会社エスコーツクボタインディアを設立した。その後も両者間でさらなる協業に向けた体制整備を行ってきた結果、今回の手続き完了後には、エスコーツを存続会社として、クボタ農業機械インドとエスコーツクボタインディアの2社を吸収合併させることで合意した。

インドは広大な農地面積を有しており、農業従事者は人口の半数以上を占めている。政府も農業を重要な産業分野と位置付け、さまざまな施策により農家の収入と農業経済の成長を後押ししている(2021年10月付調査レポート参照)。クボタによると、インドのトラクター市場は年間約90万台(2021年3月期)と、台数ベースで世界最大だ。トラクターは農機としてだけではなく、庶民の貨物輸送車としても浸透している。

写真 エスコーツ製トラクター(クボタ提供)

エスコーツ製トラクター(クボタ提供)

(高際晃平)

(インド)

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