ロシア最大手行のESG取り組みが加速

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年11月22日

ロシア最大手行のズベルバンクによるESG(環境・社会・ガバナンス)の取り組みが本格化している。11月15日、取引先の法人企業に対しESG格付けを付与したと発表した。ズベルバンク初となるESG格付けは企業の持続可能性を客観的に評価するために設け、2022年1月以降から運用を開始する予定だ。アレクサンドル・ベデャヒン第1副頭取は、2030年までに自行のカーボンニュートラルの目標を達成させると説明し、同様の目標を掲げる取引先企業をサポートすると意気込みを語った。

12日にはロシアの主要銀行として初めてグリーンボンドを発行し、応募超過の起債となった。ベデャヒン第1副頭取によると、これは投資家が環境ビジネスに関心を持っていることを示しており、今後もグリーンボンドの高い需要に応えていくと述べた。今回の発行額は250億ルーブル(約400億円、1ルーブル=約1.6円)、償還期間2年、利回り8.99%。調達資金は国内の太陽光発電所建設などに使う。

アナトリー・ポポフ副頭取は11日、自然エネルギーを導入したと見なす「グリーン電力証書」を取引するための市場を2022年第1四半期(1~3月)に立ち上げると発表した。これにより自然エネルギー発電事業者や証書を購入する企業は自然エネルギーにより生み出された環境付加価値を市場で取引できるようになる。また、企業がグリーン電力証書を購入すると二酸化炭素(CO2)排出を削減したと見なされ、製品を輸出する際の炭素税を抑えることができる。

ズベルバンクの収益力は日本のメガバンクと比較しても遜色がない(注)。国際会計基準(IFRS)に基づく2021年第3四半期(7~9月)連結純利益は9,781億ルーブル。

(注)メガバンク3行が15日に発表した日本会計基準に基づく2022年第2四半期(中間決算、9月末)の純利益は三井住友フィナンシャルグループが4,560億円、みずほFGが3,856億円、三菱UFJフィナンシャルグループが7,814億円。

(小野塚信)

(ロシア)

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