長城汽車、ミュンヘンに欧州統括拠点を新設

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2021年11月29日

中国の自動車大手の長城汽車(Great Wall Motors)は11月25日、ドイツ南部バイエルン州の州都であるミュンヘンに欧州統括拠点を設立したと発表した(同社プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。欧州統括拠点では、研究開発、販売、管理業務を担う。拠点の規模は4,300平方メートルで、従業員数は2022年初めまでに約300人まで拡大する見込み。バイエルン州経済省によると、同社はミュンヘンに数億ユーロを投資する見通し。

長城汽車は欧州統括拠点設立の目的として、欧州の自動車部品サプライヤーなどとの関係をさらに強化することを挙げている。同社から分社化した、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池や蓄電池システムなどを手掛けるSVOLTは、ドイツ国内に2つの工場を建設中だ(2021年11月4日記事参照)。

もう1つの目的は、欧州の顧客ニーズをつかむことで、車両販売のみならず、充電、メンテナンス・修理サービスなどを包括的に提供していく。2022年には、ミュンヘンとベルリンに、「長城汽車ブランド・エクスペリエンス・センター(GWM Brand Experience Center)」を設置して、顧客と接する場を設ける。長城汽車は、2021年9月にミュンヘンで初開催された国際モーターショー「IAAモビリティ2021」(2021年9月14日記事参照)にも出展している。

フーベルト・アイバンガー・バイエルン州経済相は、今回の長城汽車の欧州統括拠点設立について、同社が地元自動車メーカーと競合になることは認めながらも、バイエルン州内に雇用が創出されるとともに、次世代自動車に関する研究開発が州内でさらに進むきっかけとなるとした。

長城汽車は2019年11月に、BMWと合弁で、中国江蘇省にEV用工場を建設すると発表している。2021年11月18日にミュンヘンで開催された欧州統括拠点の開所式典には、バイエルン州経済省、ミュンヘン市に加え、BMW関係者も参加した。長城汽車のミュンヘンの欧州統括拠点は、ミュンヘンの中心から北に約10キロの場所で、BMW本社に近く、同社の研究・イノベーションセンターと情報技術(IT)センターの間にある。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、中国)

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