チッパーキャッシュがユニコーン企業に

(ナイジェリア)

ラゴス発

2021年11月16日

アフリカでクロスボーダーの決済アプリを提供するチッパーキャッシュ(Chipper Cash)が11月1日、シリーズC エクステンションラウンド(注)で1億5,000万ドルを資金調達したと発表した。これにより同社の評価額は20億ドルを超え、ユニコーン企業(10億ドル以上の評価額のスタートアップ)になった。

チッパーキャッシュは2018年に米国サンフランシスコで設立し、共同創設者はウガンダ人のハム・セルンジョギ氏とガーナ人のマイジッド・ムジャレド氏が務める。現在、アフリカ7カ国(ナイジェリア、ガーナ、ウガンダ、タンザニア、ルワンダ、南アフリカ共和国、ケニア)に加え、英国、米国を含む9カ国でサービスを展開している。400万人以上のユーザーを抱え、1日平均で8万回の取引を行う。手数料無料の個人間のモバイル国際送金サービスや、仮想クレジットカードの発行、南アやウガンダでは暗号資産(仮想通貨)や株への投資サービスも提供している。

今回のラウンドは、新規投資家である暗号資産取引所のFTXがリードインベスターとなり、これまでも同社への投資に参画してきたSVBキャピタル、デシエンキャピタル、リビットキャピタル、ベゾス・エクスペディションズ、ワンウェイベンチャーズ、トライブキャピタルも参加した。

チッパーキャッシュの2019年のシードラウンドから出資参画しているAAICグループのナイジェリア法人代表の一宮暢彦氏は今回の資金調達について「チッパーキャッシュが分散型(P2P)のいわゆる『未来型の金融プラットフォーム』を、金融インフラが弱いと言われていたアフリカの、しかも単一国ではなく、クロスボーダーで実装したことの意義は大きい。これまでの中央集権的な銀行を介した国際送金では費用も時間もかかり、アフリカ諸国に多く存在する中小企業や個人にとって大きな障壁となっていたが、同社のプラットフォームは送金手数料無料、即時の送金を実現させた。今回の資金調達でさらに事業を拡大させ、『アフリカ間をつなぐ、アフリカと世界をつなぐ未来型の国際金融インフラ』としてさらに成長することを願っている」と、ジェトロの取材に答えた。

(注)スタートアップ企業において、ベンチャーキャピタルなどが出資する段階。

(馬場安里紗)

(ナイジェリア)

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