中国シノバックの新型コロナワクチン製造拠点、首都圏州の工業地帯に設置へ
(チリ)
サンティアゴ発
2021年11月05日
中国シノバック・バイオテックの新型コロナウイルスワクチン製造工場がチリ首都圏州サンティアゴ北部のキリクラ区の工業地帯に設置予定、と11月3日付「エル・メルクリオ」紙が報じた。この工場は、同社とチリのカトリカ大学(Pontificia Universidad Católica de Chile)両者の合意で設立を決定していたもので、シノバックにとって中南米で最初のワクチン製造拠点になる。工場では、フィル・アンド・フィニッシュ(Fill and Finish)と呼ばれる充填(じゅんてん)と最終製剤化を行う。シノバックによると、チリでワクチンを製造する主な目的は、新型コロナに限らずに同社のさまざまなワクチンを中南米地域へ供給するためで、チリから中南米へのワクチン輸出は年間約1億万回分を見込んでいる。操業開始は2022年上半期を予定している。
また、同紙によると、シノバックとカトリカ大学の合意内容には、サンティアゴ南部サン・ホアキン地区に位置する同大学キャンパス内に、シノバック・ワクチンの製造研究を行う研究所を設置することも含まれており、今後2カ月以内に約30人の中国人研究者が同キャンパスに到着する予定としている。加えて、シノバックは首都圏州の製造工場とは別に、アントファガスタ州にて研究開発(R&D)センターを設置する予定で、その設置場所についてアントファガスタの北部、空港から13キロに位置する工業団地内に決定したと発表した。同センター設置には1億100万ドルの投資が見込まれており、2年以内に操業開始の予定だ。
(岡戸美澪)
(チリ)
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