与党、地方統一選で過半数に届かず、主要都市の支持も伸び悩む

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年11月16日

南アフリカ共和国の独立選挙委員会(IEC)は11月4日、1日に実施された統一地方選挙の結果を公表した。与党・アフリカ民族会議(ANC)の得票率が1994年に民主化が始まって以来初めて国民投票の50%を下回り、45.6%にとどまった。前回2016年の地方選(2016年8月18日記事参照)と比較して、ANCの支持率は2016年の53.9%から8.3ポイント低下した。最大野党の民主同盟(DA)も、2016年選挙の26.9%から、今回21.7%という結果だった。第3党で極左政党の経済的解放の闘士(EFF)は、2013年にANCから分裂し発足してから2回目の地方選に臨み、10.3%を獲得した。次に続く5.6%を獲得したインカタ自由党(IFP)は、ダーバンのあるクワズール・ナタール州で高い支持率を誇り、州北部の9つの地方議会で過半数を確保した(添付資料図参照)。

ANCは全国的にはまだリードしているものの、2011年以降の地方自治体選挙から徐々に支持率を下げている。南ア国民は長年、政権内ではびこる汚職や公共サービス悪化に対して不満を抱いており、その結果が今回選挙結果に反映されたと各メディアは報じている。EFFを含む他の小政党は特定の地域でわずかに支持を伸ばしているものの、全国レベルで勢力図を大きく覆すような状況にはなっていない。

地域ごとに選挙結果を見てみると(添付資料表参照)、農村部にもともと大きな支持基盤をもつANCは、ヨハネスブルクをはじめとする大都市自治体での支持率回復を期待していたものの、バッファローシティとマンガウン以外は過半数に届かず、他政党との連立を模索する可能性がある。DAは歴史的にケープタウン市民の支持が厚く、今回も順当な結果となった。

(堀内千浪、トラスト・ムブトゥンガイ)

(南アフリカ共和国)

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