カナダのジェネラル・フュージョン、米テネシー州に拠点設立、核融合エネルギーの商用化目指す

(米国、カナダ)

アトランタ発

2021年11月18日

カナダの核融合技術開発企業のジェネラル・フュージョン(General Fusion、本社:ブリティッシュ・コロンビア州)は11月10日、同社の進める商業用パイロットプラント計画の一環として、米国テネシー州オークリッジ市に米国拠点を設けると発表した。最大50人の高度技術者を雇用し、国立研究所、大学、米国政府との協力関係を拡大しつつ、カーボンニュートラルの電源である核融合エネルギーの商用化を目指す。

オークリッジ市には、米国エネルギー省管轄で最大の多目的科学・エネルギー研究所であるオークリッジ国立研究所が置かれている。核融合実験炉の実現に向け、各国が協力するITER計画(注)に関連する研究も行われており、ジェネラル・フュージョンは同研究所の近くの場所を戦略的に選んだ。同社のクリストファー・モウリー最高経営責任者(CEO)は「オークリッジは新拠点にとって理想的な場所で、テネシー州の豊かなイノベーション・エコシステムとオークリッジ周辺の高度な技術を持つ人材へのアクセスが可能だ」と述べた。

ジェネラル・フュージョンの拠点設立について、オークリッジ国立研究所のトーマス・ザカリア所長は「核融合エネルギーを豊富でクリーンなエネルギー源として実現するためのプラズマ診断を進める上で、ジェネラル・フュージョンは大切な研究パートナーだ」と歓迎した。駐日米国大使も務めたウィリアム・ハガティ連邦上院議員(テネシー州選出)は「核融合エネルギーのような技術の商業化は、エネルギー開発と経済成長にとって非常に大きな可能性を秘めている。ジェネラル・フュージョンがこのエキサイティングな技術を追求するのに、オークリッジほど適した場所はない」と述べた。

(注)平和目的のための核融合エネルギー技術の実証のため、核融合実験炉の実現を目指す国際プロジェクト。日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドが参加している。

(高橋卓也)

(米国、カナダ)

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