労働者確保は困難、自動車販売台数はやや減少、米シカゴ連銀ベージュブック

(米国)

シカゴ発

2021年10月27日

米国連邦準備制度理事会(FRB)が10月20日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)の中で、米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀は、8月下旬から9月にかけての同地域における経済活動について、控えめに(modestly)向上したものの、労働力や資材の供給不足、新型コロナウイルスの拡大が、引き続き景気拡大の足かせになっていると報告した。

同地域の経済活動を分野ごとにみると、雇用に関しては、控えめに(modestly)増加した。熟練、非熟練を問わず労働者を見つけるのが困難な状況が続いているが、求職者の数が増加しているとの報告もみられた。また、新型コロナウイルスの濃厚接触による欠勤は、数カ月前よりも増加していた。既存の従業員を維持するため、追加昇給を行った企業もあった。

個人消費は、ほとんど変化がなかった(little changed)。レジャーおよびホスピタリティ関連の支出が減少した一方で、家具や家庭用品などの需要は引き続き堅調だった。小型自動車の販売台数は、中古車販売台数は回復したものの新車販売台数が減少したため、やや減少となった。

企業支出は、緩やかに(moderately)増加した。小売店の在庫はサプライチェーンの問題により多くの分野で低水準にとどまっており、2022年後半まで続くとみられている。製造業では、販売用の在庫が非常に少なく、一部の金属やプラスチックなどを含む広範な原材料が不足した。

製造業の活動は、控えめに(modestly)増加しており、多くの分野で新型コロナウイルスまん延以前の水準を上回り、ほとんどの企業が労働力や物流の問題を抱えながらもフル稼働している。自動車生産台数は、マイクロチップなどの部品不足により低水準にとどまった。鉄鋼の需要はほとんどの産業で増加した。

農業分野に関しては、トウモロコシと大豆の収穫量が記録的な水準に達し、価格に下降圧力がかかったものの、1年前より高い水準となった。牛肉価格は横ばい、牛乳価格は若干回復した。また、政府プログラムや製品販売のキャッシュフローにより、農業融資の需要は抑制された。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(小林大祐)

(米国)

ビジネス短信 fecfee9105f028ac