公的債務の上限をGDP比70%に引き上げ
(タイ)
バンコク発
2021年10月01日
タイ政府は9月20日、公的債務残高の対GDP比の上限を60%から70%に引き上げることを決定し、28日の官報に掲載され発効した。これにより、新型コロナウイルスによって打撃を受けた経済を回復させるための追加借り入れが可能となった。
アーコム・タームピッタヤーパイシット財務相は地元紙「バンコク・ポスト」に対し、公的債務の上限引き上げは国家金融財政政策委員会が3年ごとに上限を見直すとした2018年財政規律法第50条に沿ったもので、政府が中期的な財政政策を実行するために資金を借り入れる必要が生じた場合の備えだと説明した。その上で、政府が債務を返済する能力を持っていることも強調した。
政府は2020年4月に新型コロナウイルスの影響を受けた者に対する支援と経済刺激のために1兆バーツ(約3兆3,000億円、1バーツ=約3.3円)の借り入れを決定。さらに、2021年5月にも5,000億バーツの追加借入を決定している。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年9月末時点の公的債務残高は約6兆9,000億バーツで、GDP比41%だったが、2021年7月時点では8兆9,000億バーツと、同55.6%にまで上昇している。
(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)
(タイ)
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