9月の住宅価格は前年同月比18.5%上昇、2022年も2桁増の予測

(オランダ)

アムステルダム発

2021年10月29日

オランダ中央統計局(CBS)は10月22日、9月の住宅価格が前年同月比で18.5%上昇したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。上昇幅としては2000年8月以来最大だった。

オランダの住宅価格は2013年6月を境に上昇傾向をたどり、2021年6月に過去最高を更新したばかりだ。9月の住宅価格は2013年7月と比較すると、平均で約8割上昇している。

この上昇傾向は、2022年も続く見通しだ。オランダの大手銀行ラボバンクが9月15日に発表した住宅市場の四半期報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、2021年の平均住宅価格は前年比で14.4%増、2022年は11.5%増となると予測している。

住宅価格の上昇は、賃貸市場にも影響を与えている。賃貸住宅の価格(1平方メートル当たりの単価)は、オランダ不動産・資産評価士協会(NVM)の報告資料によると、2014年から2021年までの間に戸建住宅で約3割、集合住宅では約5割上昇している。最も高いのはアムステルダムで、2021年第3四半期の賃貸住宅価格は全国平均と比べて4割以上、第2の都市ロッテルダムと比べても約3割高くなっている。

オランダの賃貸市場は、外国人駐在員が占める割合が大きいのも特徴だ。NVMが2021年3月に発表した2020年のオランダの不動産市場レポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、賃貸市場全体の約2割を外国人駐在員が占め、デルフト市(70%)、ハーグ市(64%)、ワッセナー市(64%)、アムステルダム市(60%)、アムステルフェーン市(55%)の上位5都市では、外国人駐在員の割合が50%を超えている。

そして、オランダの賃貸市場は供給が少ないことが課題だ。日本人駐在員向けのジャパンデスクを有するオランダの不動産会社によると、2021年8月からアムステルダム市の賃貸市場は活況を呈していて、日本人駐在員に紹介する物件の確保が難しい状況とのこと。英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う日系企業のオランダへの機能移転が今後も続く見込みだが、駐在員の住宅確保には注意が必要だ。

(下笠哲太郎)

(オランダ)

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