輸入モニタリングシステム見直しで輸入にさらに時間要する可能性

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年10月01日

アルゼンチンで9月17日、輸入者が「輸入の総合モニタリングシステム(SIMI)」を通じて行う申請に対する行政機関の回答期限が従前の「10暦日以内」から「60暦日以内」に変更された。新たな措置は公共歳入連邦管理庁・産業・知識経済・貿易管理庁合同一般決議5070/2021号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに規定されている。

これまで回答期限は延長可能とされていたが、変更後は延長について規定していない。そのため、回答期限は最大60歴日ということになるが、そのとおりに運用されるかどうかは不透明だ。SIMIを通じて行う手続きには輸入に際して必要な輸入ライセンスが含まれているため、輸入に要する時間が長期化する可能性がある。

アルゼンチンで商品を輸入する場合、輸入者はSIMIを通じて必要な手続きを行う必要がある。その代表的な手続きは輸入ライセンスの取得だ。全ての品目が輸入ライセンスの取得対象で、品目により自動輸入ライセンスと非自動輸入ライセンスのいずれかを取得しなければならない。アルゼンチンの事業者を悩ませているのが非自動輸入ライセンスで、取得には10日以上の時間を要するのが実態だ。WTOによると、2020年末日時点の非自動輸入ライセンスの対象品目は1,469品目で、タリフライン(関税分類番号に基づく品目数)の14.3%を占める。

今回の措置により、輸入ライセンスの取得などに最大60日を要する可能性が生じており、国内の事業者から不安の声が上がっている。21日付の現地紙「バエ・ネゴシオス」(電子版)は「SIMIの審査時間の延長は、バリューチェーンを維持するために必要な生産プロセスを止めることになる」「輸入の遅れによる生産工程の変更は不可能」など、生産活動への影響を懸念する声を伝えている。

今回の見直しの背景には、アルゼンチンの厳しい外貨繰りがあるとの見方もある。年末にかけてIMFへの債務返済などもあり、外貨繰りは厳しさを増す見通し。輸入許可取得のハードルが一層高くなる可能性がある。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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