アルセロール・ミタル、CO2排出削減に向けたプラントへの投資発表

(ベルギー、ルクセンブルク)

ブリュッセル発

2021年10月05日

鉄鋼大手アルセロール・ミタル(本社:ルクセンブルク)は9月28日、ベルギー連邦政府とフランダース地域政府との間で、同社のゲント工場をより環境に配慮した施設とするため、総額11億ユーロの投資計画に関する覚書を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同計画により、鉄鋼石の還元(酸素を取り除く工程)のための直接還元鉄(DRI)プラント(注1)と2基の電気高炉を建設する。同プラントでは、還元剤として石炭に代わって天然ガスを使用しており、将来的には水素への切り替えを想定している。環境負荷のより低い還元方法に切り替えることで、2030年までに年間約300万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減に貢献する見込み。また、既存の高炉での生産をDRIプラントと電気高炉に徐々に移行させ、最終的には従来型高炉の一部を廃炉にするという。計画の実現には多額のコストを要するため、ベルギー連邦政府と地域政府の支援が欠かせないとしている。ただし、政府の公的支援の実行には、EUの国家補助ルールに従って欧州委員会による承認が必要になる。

ベルギー連邦政府によると、同計画は国内の気候変動関連の投資では過去最高額となり、アレクサンドル・ド・クロー首相は「多くのCO2を排出する鉄鋼業での画期的な取り組み」と評価している。

多面的なアプローチでCO2排出量の大幅削減目指す

アルセロール・ミタルは、今回の取り組み以外にも、既存の従来型高炉の改修に1億9,500万ユーロを投資し、既に2021年3月から再稼働させるなど、CO2排出削減に向けたさまざまな取り組みを実施しており、2030年までに年量390万トンのCO2排出削減(スコープ1および2における2018年比、注2)を達成する見込み。

同社は、2050年までの気候中立と2030年までの温室効果ガス(GHG)の1990年比55%削減を目指すEUの気候変動目標に貢献するため、(1)材料およびエネルギー効率の向上、(2)スマートカーボン技術(廃材活用、廃ガスのバイオエタノール転換など)の活用、(3)還元工程の水素への置き換え(最終的にはグリーン水素の利用を目標)の3つの柱に取り組んでいる。

今回の発表に先立つ 9月27日には、欧州投資銀行(EIB)がベルギー、フランス、ルクセンブルク、スペインでの鉄鋼生産設備のCO2排出削減に向けた同社の研究開発活動に対し2億8,000万ユーロの融資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(注1)高炉によらない新世代型の製鉄法で、主として天然ガスを使用して鉄鉱石を還元するプラントのこと。

(注2)スコープ1は事業者自ら排出する温室効果ガス、スコープ2は他社から供給された電気、熱などの使用に伴う間接排出を指す。

(大中登紀子)

(ベルギー、ルクセンブルク)

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