再エネ推進機関が欧州復興開発銀行とMOU締結

(モロッコ)

ラバト発

2021年10月06日

モロッコの再生可能エネルギー推進を担う政府関係機関であるソーラーエネルギー・新エネルギー研究所(IRESEN)は9月28日、欧州復興開発銀行(EBRD)とMOU(注1)を締結した。EBRDがモロッコの脱炭素化を資金面などでサポートすることとなる。

今回の合意で両者が協力する分野は多岐にわたるが、その中でもグリーン水素(注2)への期待が大きい。モロッコ政府は、2030年までに電力生産の52%以上を再エネで賄うという目標を掲げており、その中枢であるグリーン水素の欧州への供給を視野に入れた技術導入を目指している。2021年3月にはアフリカ初となるグリーン水素の開発機関「クラスターグリーンH2(Cluster Green H2)」を首都ラバトに開設したが、コスト面で課題を抱えていた。

EBRDのハリー・ボイド=カーペンター氏は、より安価にグリーン水素が製造できるようになれば、重化学工業や輸送部門の脱炭素化につながると述べた上で、モロッコには当該分野で発展する高いポテンシャルがあるとした。IRESENのバドル・イッケン所長は今回の合意について、グリーン水素などの新技術の開発を通した脱炭素化へのさらなる前進との見方を示し、EBRDとの連携に期待するとした。

(注1)行政機関などの組織間で契約を結ぶ前段階に交わす合意文書(覚書)のこと。

(注2)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程で二酸化炭素を排出しない。

(本田雅英)

(モロッコ)

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