英国、ニュージーランドとのFTAに原則合意
(英国、ニュージーランド)
ロンドン発
2021年10月22日
英国政府は10月20日、ニュージーランドと交渉中の自由貿易協定(FTA、注)について、主要分野で原則合意したことを発表した。ボリス・ジョンソン首相とニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相が同日に実施したビデオ会議で合意に至った。
英国政府によると、ニュージーランドとの2020年の貿易額は23億ポンド(約3,611億円、1ポンド=約157円、添付資料表1、2参照)。英国側は牛肉や羊肉、バター、チーズなどを除く96.7%の品目、ニュージーランド側は全ての品目につき、関税を即時撤廃。将来的には英国側も全ての品目につき関税を撤廃する。
英国国際通商省(DIT)は同FTAの主なメリットとして、関税削減効果のほか、小規模企業の輸出手続きの簡素化や、投資機会の創出、テック業界やサービス業の英国企業のニュージーランド進出時の手続きの簡素化、弁護士や建築家などの英国の専門家の同国での活動支援などを挙げた。
また、政府は日本、オーストラリアとのFTAの発効、合意も踏まえ、今回のニュージーランドとのFTAを環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への英国の加入に弾みをつけるものとなるとした。
ジョンソン首相は「ニュージーランドとのこれまでの長きにわたる友好関係をさらに強め、アジア太平洋地域とのつながりを深める、英国にとって素晴らしい協定」とコメント。アーダーン首相も「最先端の貿易協定は両国関係のさらなる強化の基礎となると同時に、(両国の関係を)新たな段階へと進めるきっかけとなる」と歓迎した。
農業界は懸念
一方で、英国の業界団体である英国農業者連盟(NFU)のミネッテ・バターズ会長は「ニュージーランドとのFTA合意の発表は、先のオーストラリアとの協定と併せ、非常に多くの輸入食品に対して門戸を開いたことを意味する。一方で、国内農家にとってはほとんど利益が確保されていない」と懸念を表明した。
(注)今回の原則合意に関する詳細は英国政府ウェブサイト参照。
(山田恭之、島村英莉)
(英国、ニュージーランド)
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