革製品ブランド「サムラ」、日本からのアクセサリー入手を希望

(エチオピア、日本)

アディスアベバ発

2021年10月25日

ジェトロは10月15日、国連職員や外交官なども顧客にもつエチオピアの革製品ブランド「サムラ(SAMRA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の工房を訪問した。デザイナーのサムラウィット氏は、商品の質向上のため、日本の革製品アクセサリーの入手を熱望している。

写真 デザイナーのサムラウィット氏(ジェトロ撮影)

デザイナーのサムラウィット氏(ジェトロ撮影)

サムラウィット氏はイタリアの高級ブランドデザイナーの手ほどきを受けてデザインを学んだ。新型コロナウイルス感染拡大前には、日本にも訪問したことがある。革製品に欠かせない金環やファスナー、留め具など、日本でみたアクセサリーはデザインが豊富で、メッキの質もよく、どれも使いたいものばかりだったという。糸やコバ仕上げ剤(サーマルコート)の一部は、現在でもその時に購入したものを大切に使っている。

写真 日本で購入した糸や道具も使う(ジェトロ撮影)

日本で購入した糸や道具も使う(ジェトロ撮影)

新型コロナ感染拡大は売り上げへの影響も大きく、米国向けの輸出案件も破談となるなど、大きく落ち込んだ。2021年上期には、入居していた物件が地区の再開発を理由に突然わずか2日間の猶予で退去を余儀なくされた。こうした状況にあっても、前向きな気持ちを失わず、現在では、少しずつ販売も回復しているという。

必要とするアクセサリーはデザインによって異なるが、革バッグを閉じる留め具の場合、3カ月で1,000個ほどを必要とするという。アディスアベバ市内にはアフリカ有数の規模といわれる商業地区マルカートがあり、服飾アクセサリーの手配師もいる。しかし、彼らの扱う商品は、安価だが品質が悪いため、現在は人づてに国外からアクセサリーを輸入している。例えば、ブランドロゴの入った金属プレートは香港からのものだ。エチオピアでは革と綿生地以外、金定規や糸など全て輸入が必要だ。日本ならば、専門商社や問屋を介して小ロット多品種のきめ細かい需要に応える流通の仕組みがある。しかし、エチオピアではそうした整った流通の仕組みがないため、質の良い生産資材の確保は国内外で感度の高い消費者に販売したいブランドのいずれもが共通して抱える課題のようだ。

写真 革や金属部材の在庫(ジェトロ撮影)

革や金属部材の在庫(ジェトロ撮影)

写真 工房内の作業の様子(ジェトロ撮影)

工房内の作業の様子(ジェトロ撮影)

日本からみると、小ロット多品種の輸出は手間がかかるようにみえるが、エチオピアでは、厳しい外貨制約から国外電子送金は5,000ドルまでだ。貿易取引は一般に何カ月も開設にかかる信用状(L/C)取引に限られる。エチオピアでのビジネスには、5,000ドルの範囲で、細かな需要を拾っていくことにも商機を見いだすたくましさが必要とされている。

(関隆夫)

(エチオピア、日本)

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