ナイジェリア中銀、電子通貨「イーナイラ」をリリース

(ナイジェリア)

ラゴス発

2021年10月27日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は10月25日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)、通称「イーナイラ(eNaira)」をリリースするとともに、利用に当たってのガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発行した。

イーナイラのウェブサイトによると、イーナイラの利用により以下が可能となる。

  • 非接触型決済:QRコードを読み取り、イーナイラウォレットで店頭支払い。
  • 銀行口座の管理:アプリを通してイーナイラウォレットの残高や取引履歴を閲覧。
  • ユーザー同士の送金:安価な手数料で安全に国内外のユーザーへ送金。

イーナイラウォレットは、専用のアプリをダウンロードし、氏名、生年月日、銀行識別番号(BVN)などの個人情報を登録することで利用可能となる。ただし、ジェトロで10月25日に試みたところ、一部機能に不具合があり登録できなかった。

CBNのゴッドウィン・エメフィエレ総裁は、イーナイラの重要性について、国境を越えた貿易の拡大、金融包摂の促進、金融政策の有効性向上、決済の効率化、徴税対策の強化、送金額の増加などを挙げている。なお、CBNは7月22日にCBDCのイーナイラの発行を明らかにしており、運用に当たっては、東カリブ中央銀行にCBDCの技術提供をした実績のあるバルバドスのフィンテック企業ビット(Bitt)から技術提供を受けたとされる。

これまで、CBNは外貨の流出防止という名目で、暗号資産を利用してビジネスをサポートする金融サービスを禁止する通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出すとともに、特定の企業に対し口座を凍結するなどの措置を講じていた。現地報道によると、CBNによるイーナイラの発行は民間発行のステーブルコイン(注)に対する対応策とみられており、ナイジェリアでは暗号資産への取り締まりを強化する反暗号資産法が出るのではないかと懸念されている。

(注)ドルや円などの法定通貨と連動させるなどして、価格変動リスクを低減させた暗号資産

(馬場安里紗)

(ナイジェリア)

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