第2四半期の米貿易赤字、堅調な輸入の伸びで2,084億ドルと過去最高を更新

(米国)

ニューヨーク発

2021年10月13日

米国商務省が9月21日に発表した、2021年第2四半期(4~6月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比6.1%増の6,257億ドル、輸入は4.8%増の8,341億ドルだった(添付資料表1、図1参照)。輸入増加額が輸出増加額を上回ったことから、貿易赤字は前期より23億ドル増加し2,084億ドルとなった。輸入額および赤字額は、ともにデータが確認できる1960年以降で最高の水準になった。財、サービスの内訳では、財が2,697億ドルの赤字、サービスが612億ドルの黒字だった。

財貿易をみると、輸出が前期比6.9%増の4,366億ドル、輸入が4.3%増の7,063億ドルとなった(添付資料表2参照)。輸出では原油を含むエネルギー関連製品、医薬品、民間航空機・エンジン・部品、輸入では原油を含むエネルギー関連製品、金属・非金属製品、化学製品(医薬品を除く)などが押し上げ要因になった。

エネルギー関連製品の輸出入の伸びは、パンデミックからの経済の回復による需要の高まりで原油価格が上昇したことなどが影響した。第2四半期の平均原油価格(WTIスポット)は、前期比14.4%増と大幅に上昇し、2018年第4四半期以降の最高値となる1バレル当たり66.09ドルを記録した。

財貿易を主要国・地域別にみると、輸出では、EUが前期比9.7%増の669億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。原油(HTSコード2709項)、民間航空機・エンジン・部品(8800項)、有機化学品のホルモン(2937項)などが増加した。次いで、アジアNIESが10.5%増の448億ドルとなった。原油、石油ガスおよびその他のガス状炭化水素(2711項)、石油・歴青油(原油を除く、2710項)などのエネルギー製品が増加した。

輸入では、アジアNIESが前期比12.7%増の518億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった。コンピュータ用周辺機器(8473項)、電話機(携帯電話を含む、8517項)、石油・歴青油(原油を除く)などが増加した。次いで、カナダが5.2%増の889億ドルで、原油、木材(4407項)、甲殻類(0306項)、アルミニウム(7601項)などが押し上げた。

対中貿易は、2020年第3四半期から前期まで続いた輸入の伸びが一服するとともに、輸出が伸びたことにより、対中貿易赤字額は3期ぶりに減少し、866億ドルとなった。

7月の貿易赤字額は703億ドル

7月の貿易額をみると、輸出(財・サービス)は6月より26億ドル増加して2,127億ドル、輸入は3カ月ぶりに減少して3億ドル減の2,830億ドル、貿易赤字額は29億ドル減の703億ドルとなった。こうした状況について「ウォールストリート・ジャーナル」紙(9月2日)は、新型コロナウイルスのデルタ変異株による症例が増加する中、消費活動が停滞したことが輸入減につながった、と報じている。今後の見通しに関し、調査会社キャピタル・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「アジアを中心とした新型コロナウイルス感染の再拡大によって引き起こされた世界経済の一時的な混乱は、今後数カ月の貿易の重荷となる可能性があるが、調査結果によると、他の地域での経済回復が米国のそれに追いつくため、輸出の伸びは引き続き優勢であることが示されている」と述べている。

(大原典子)

(米国)

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