英政府、不足するトラック運転手確保へ追加措置発表

(英国)

ロンドン発

2021年10月05日

英国政府は10月2日、9月25日に発表した不足するトラック運転手や家禽(かきん)労働者に短期ビザを発給する対応策(2021年9月28日記事参照)の追加措置として、ビザ有効期間を延長することなどを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。英国では、EU離脱(ブレグジット)後の移民制限などが原因で、重量物車両(HGV)運転手や食品加工業者の労働力不足が継続している。

今回の発表により、2021年12月24日までとされていたビザ有効期間が、以下のとおり延長された。

  • 10月1日から10月15日までの間に、入国審査とビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の承認を経て英国に入国する燃料タンクローリーの運転手300人については、2022年3月31日まで。
  • 10月下旬から入国する食品を運搬するトラック運転手4,700人については、2022年2月28日まで。
  • 10月下旬から入国する家禽産業の労働者5,500人については、2021年12月31日まで。

また、政府は給油スタンドへの燃料供給不足を軽減し、HGV運転手不足を解消するため、10月4日から約200人(うちタンクローリー運転手100人)の軍人が燃料供給の一時的な支援を行う。

政府によると、10月2日時点で燃料需要は1週間にわたり安定しており、現在は販売量よりも配送量の方が多くなっているが、一部の地域では依然として厳しい状況が続いているという。

政府は今回の短期的な解決策に加えて、業界内の改革が不可欠としている。政府は業界と協力して、HGV運転手不足に対する長期的な解決策を見いだし、より良い給与、労働条件、多様性を備えた試験や雇用の改善を通じて、より多くの人々が物流部門で働くことを奨励していく。

クワシ・クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)相は「英国では全国的に燃料が不足していないことを強調することが重要であり、人々は通常どおり燃料を購入し続けるべきだ。通常の購買量に戻すのが早ければ早いほど、より早期に正常な状態に戻ることができる」とパニック買いに走らないよう訴えた。

(宮口祐貴)

(英国)

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