2022年の予算案を国会提出、財政規律は維持、楽観的な成長率見通し

(メキシコ)

メキシコ発

2021年09月10日

メキシコ大蔵公債省は9月8日、2022年度(暦年)の歳入法案と歳出計画を国会に提出した。プライマリー収支は均衡、債務残高の対GDP比も2021年と同水準の51.0%に抑え、従来どおり財政規律を維持する。歳入は前年度予算比7.5%増、実際の2021年見込み額と比較しても1.3%増を見込む。石油収入や手数料収入などを除く税収でみると、2021年見込み額から6.4%増加するとしている。歳出は前年度予算比で8.6%増、見込み額と比較すると1.5%増と歳入増に合わせて拡大する。

予算策定の前提となる「経済政策一般基準」によると、政府は2022年の経済成長率を4.1%としている(添付資料表参照)。民間シンクタンク35社の経済成長率見通し平均値(2021年9月1日発表)は2.81%、中央銀行が8月31日に発表した見通しは3.0%となっており、かなり楽観的な見通しといえる。インフレ、金利、為替レート、米国の経済成長率、原油価格などの見通しは比較的現実的で、民間部門の見通しとの差も小さいが、原油生産量については2022年平均で日量182万6,000バレルとしており、2020年7月の実績が同166万9,400バレルだったことを考慮すると、楽観的な数字だ。

2022年も本格的な税制改革なし

2022年の歳入法案には新税の創設や税率変更は盛り込んでいない。しかし、大蔵公債省は2022年の税収を2021年見込み額比で6.4%増加するとしており、経済成長率(4.1%)以上の税収増を見込んでいる。所得税(ISR)法の比較的大きな改正としては、2014年に導入した小規模個人事業者に対する簡易納税制度(RIF)を廃止し、新たに「信頼に基づく簡易制度」を導入する。同制度の対象は、売り上げが年間350万ペソ(約1,925万円、1ペソ=約5.5円)を超えない個人事業者、あるいは売り上げが年間3,500万ペソを超えない法人。双方とも、当局への提出書類や税務申告が簡素化される恩典に加え、個人事業主の場合は簡易税率が適用されて税額が益金の1~2.5%となることや、法人の場合は収入と費用の認識がキャッシュフローベースとなって税金計算が容易になることに加え、投資を行った際の償却が通常よりも早くなる(加速度償却)メリットがある。

国税庁(SAT)は近年、大企業や多国籍企業の節税策に目を光らせており、2022年度税制改正の中にも企業の損金算入を制限したり、付加価値税(IVA)の仮払い処理を制限する方向の改正が幾つか盛り込まれている。2022年も景気刺激や投資促進に向けた減税策などは一切考慮されていない中で、納税者に対する取り立ては厳しくなるとみられ、進出企業にとって厳しい状況が続きそうだ。

(中畑貴雄)

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