第2四半期のGDP成長率は前期比0.7%

(オーストラリア)

シドニー発

2021年09月02日

オーストラリア統計局(ABS)は9月1日、2021年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が前期比0.7%だったと発表した(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大初期の大幅な落ち込みの反動で、前年同期比では9.6%となった。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、新型コロナウイルス感染拡大防止のための制限措置がより一層緩和され、サービス支出が増加したことから、民間最終消費支出が1.1%増と引き続き増加した。また、政府の支援策や信頼感の高まりによって住宅投資や設備投資がさらに促進され、国内総固定資本形成は3.2%増となった。さらに、保健関連の支出が増加したことから、政府最終消費支出も1.3%増となった。財貨・サービスの輸出入は、資源輸出の減少を反映して輸出が3.2%減となったが、輸入は1.5%増だった。

産業別にみると、鉱業(前期比1.3%減)、専門・科学技術サービス業(0.5%減)が減少したものの、ほとんどの産業が前期比で増加した(添付資料表2参照)。特に、制限措置の緩和による国内旅行の増加などによって、運輸・郵便・倉庫業(3.7%増)や宿泊・飲食サービス業(2.8%増)が大きく伸びた。オーストラリアの主要産業である鉱業は、一部の大規模プラントでのメンテナンス作業や悪天候の影響で、石油・ガスが4.8%減となったほか、天候や物流、生産の問題などによって、石炭が0.8%減となった。

オーストラリアでは現在、シドニーやメルボルンで新型コロナウイルスのデルタ型変異株による市中感染が拡大しており、経済への影響が懸念されているが、ABSは「ニューサウスウェールズ州での外出制限措置は6月26日から始まっており、第2四半期における影響は最小限だった」と説明した。

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「2021年第2四半期のGDPは新型コロナ禍前の2019年第4四半期(10~12月)より1.6%大きく、オーストラリア経済の回復力には目を見張るものがある」と述べた。また「感染再拡大によって困難な局面にあるが、制限が緩和されればすぐに回復に向かうだろう」と述べ、ワクチン接種率に応じた制限緩和計画の重要性を強調した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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