産業界の業況判断がさらに悪化、過去16カ月で最低水準

(タイ)

バンコク発

2021年09月13日

タイ工業連盟(FTI)は9月8日、8月のタイ業況判断指数(TISI、注)を発表した。それによると、同指数(回答企業数:1,395社)は前月比2.1ポイント減の76.8ポイントと、5カ月連続で低下した。2020年4月に次ぐ16カ月間で最低の水準となった(添付資料図参照)。

タイでは8月中、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者数がピークを迎え、2万人を超える日も続き、クラスター発生による工場の閉鎖や、原材料・部品供給の寸断に伴う稼働停止といった課題が発生した上、1カ月間にわたって商業施設(食料雑貨店を除く)や飲食店なども閉鎖されていたことから、経済・消費活動は著しく減退した。

他方、今後3カ月先の業況感を聞いたTISI見通しは、前月比1.5ポイント増の90.9ポイントと、90台に回復した。8月下旬以降、国内の新規感染者数が減少したため、やや楽観的な見方をする企業が増えたとみられる。実際、9月からは商業施設や店内飲食も再開しており、市内では消費・経済活動が活性化する動きも確認できている(2021年8月31日記事参照)。

写真 再開したバンコク市内のモールに多くの客が戻っている(9月5日、ジェトロ撮影)

再開したバンコク市内のモールに多くの客が戻っている(9月5日、ジェトロ撮影)

(注)TISI(Thai Industries Sentiment Index)は、FTIが加盟企業(製造業を中心とする45産業)に毎月行っている景況感に関するアンケート調査に基づく指数。当該月の現況と、3カ月先の見通しをそれぞれ聞いており、100を超えると「業況が良い」、100を下回ると「業況が悪い」を示す。

(北見創)

(タイ)

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