ブラジル大手製薬ユーロファルマ、中南米向け米ファイザーのワクチン製造へ
(ブラジル、中南米、米国)
サンパウロ発
2021年09月02日
米国ファイザーとドイツのビオンテックは8月26日、ブラジルでの新型コロナウイルスワクチンの製造で、ブラジル製薬大手のユーロファルマと基本合意書(LOI)に署名したと発表した〔8月26日付「ビジネスワイヤ」(注1)〕。発表では、ファイザーとビオンテックはユーロファルマにワクチン製造に関わる設備と技術を提供し、2022年に年間1億回分以上のワクチン製造を目指す。ブラジルで製造したワクチンは他の中南米諸国にも供給するという。
ファイザー・ブラジルのマルタ・ディエズ社長は8月29日付現地紙「バロール」のライブインタビューで、ユーロファルマを選定した理由について「近代的な工場やワクチン製造に必要な殺菌技術を有している」ためと述べている。また、8月27日付現地紙「エスタード」によると、業界の見立てとして、ユーロファルマはファイザーと協力することで中南米へのさらなるビジネス拡大につなげられるという(注2)。
その他の新型コロナワクチンの国内生産計画については、サンパウロ州保健省管轄のブタンタン研究所が2021年3月26日にプレスリリースで発表した、同年下半期の国内接種開始を目指して開発中のものや、ブラジル保健省所管の国立研究機関オズワルドクルス財団(注3)が7月30日のプレスリリースで発表した、英国アストラゼネカ製のワクチンを同年第4四半期(10~12月)に供給することを目指すものなどがある。いずれも接種可能な段階には至っていないが、国内で新型コロナワクチンを安定的に調達・供給することを目指す動きが確認できる。
(注1)世界全域に配信ネットワークを有する企業ニュースリリース配信会社。
(注2)ユーロファルマ公式サイトによると、中南米20カ国に事務所がある。ブラジル、アルゼンチン、ペルー、コロンビアなどには工場もある。
(注3)ポルトガル語の名称は「フィオクルス」。保健省所管の国立研究機関で、ゲノム配列の解析を行う機関の1つでもある。
(古木勇生)
(ブラジル、中南米、米国)
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