中国の研究開発費、前年比10％超の伸び続く

中国国家統計局は9月22日、「2020年全国科技（科学技術）経費投入統計公報」を発表した。2020年の研究開発（R＆D）費は、前年比10.2％増の2兆4,393億元（約41兆4,681億円、1元＝約17円）で世界2位となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、増加率は2019年より2.3ポイント低下した。国家統計局は2016～2019年の研究開発費の平均成長率は11.8％となり、米国（7.3％）、日本（0.7％）などを大幅に上回ったとしている。

2020年の産業別の研究開発費をみると、一定規模以上の企業（注）のうち、コンピュータ・通信・その他電子設備製造業（2,915億元）、電気機械・器材製造業（1,567億元）、自動車製造業（1,363億元）の3産業がそれぞれ1,000億元を上回り、汎用設備製造業（978億元）、専用設備製造業（966億元）、鉄鋼精錬・圧延加工業（799億元）、化学原料・化学製品製造業（797億元）、医薬製造業（785億元）、金属製品業（562億元）、非金属鉱物製品業（513億元）の7産業がそれぞれ500億元を上回った。

同年の地域別の研究開発費をみると、広東省、江蘇省、北京市、浙江省、山東省、上海市、四川省、湖北省の8省市が1,000億元を超え、この8省市で全国総額の65.7％を占めた。研究開発費の域内総生産（GRP）に占める割合は、北京市、上海市、天津市の順に高かった（各省市の研究開発費などは添付資料表参照）。

政策面では、2021年3月の全国人民代表大会（全人代）において、製造業の企業所得税から追加控除できる研究開発費の比率を、従来の75％から100％に引き上げることを決めるなど、研究開発に対する支援が強化されている。一定規模以上の企業の2020年の研究開発費に対する税額控除は、前年比29.4％増の2,422億元となった。

（注）その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の企業。

（龐婷婷）