アルゼンチン、9月20日から居住者などの入国時の強制隔離を免除
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年09月03日
アルゼンチン政府は8月27日、行政決議第846/2021号を公布し、労働または商用目的で出国し、再度入国するアルゼンチン人、アルゼンチン居住者、商用目的での入国を移民局が認めた非居住者の強制隔離を、2度のワクチン接種を完了していることなどを条件に免除すると発表した。翌日に公布した行政決議第853/2021号は、同措置は2021年9月20日から施行すると明らかにした。アルゼンチンではこれまで、2020年3月12日付の政令260/2020号および改正措置などによって、入国後の強制隔離は指定隔離場所で7~10日間とされていた。
強制隔離の免除の条件は以下のとおり。
- 入国21日前までに新型コロナワクチンを接種し、移民局へその旨を宣誓する。国外で接種した場合は接種証明書も合わせて提出する。
- 出発地での出国72時間以内に実施したPCR検査の結果が陰性、かつ入国時に抗原検査、入国5日目および10日目にPCR検査を実施。検査費用は入国者が負担する。
- 出発地の出国72時間以内に実施したPCR検査で陰性が確認されてから10日間は、十分な予防措置を講じて生活を送る。
- 労働、商用目的の旅行であること、また雇用主、カウンターパート、経済活動などに関する情報を移民局へ宣誓供述する。
保健省の報告によると、9月1日時点の全国の1日当たり新規感染者数は5,328人で、1週間前に比べて約24%減、2週間前に比べて約45%減少した。死者数および集中治療室(ICU)で治療を受けている重症患者数も減少傾向にある。累計感染者数は519万948人、累計死者数は11万2,005人となっている。
保健省は「デルタ株の脅威やコロンビアで確認されたミュー株も懸念するが、ワクチン接種に重点を置いて接種を加速度的に進めている」としている。また、ブエノスアイレス州保健省は8月26日、「ブエノスアイレス首都圏におけるデルタ型変異株の市中感染を確認したが、同変異株による感染の拡大は発生していない」とした。
8月31日付の現地紙「ラ・ナシオン」によると、国民の支持率が大幅に悪化していることを受けて政府は、9月12日の国会議員中間選挙予備選前に「(新型コロナウイルスによる)危機的状況を乗り越えることができた」というメッセージの発信に乗り出した。政府は、2021年中に感染し、死亡した患者の約90%は50歳以上で、その年齢層の2回目のワクチン接種率が約70%に達したことから、死者数の急激な再拡大の可能性は低いとみている。そのため、行動制限措置の緩和に加えて、今回の入国時の強制隔離の免除やサッカーの試合を有観客で行うことを認める意向なども発表している。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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