需要高まるデジタル人材育成の補助金プログラム開始

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年09月02日

マレーシアでは、新型コロナウイルスのパンデミックによる景気後退により、失業率は例年より高い傾向にある。他方、マレーシア経営者連盟(MEF)は、パンデミックの影響でビジネスのデジタル化が進み、企業側にも即戦力となるデジタル人材の雇用意欲が高まっていると指摘する。マレーシア・デジタルエコノミー公社(MDEC)は、こうした産業界のデジタル人材への需要と、新卒者や失業者向けの雇用機会創出を目的に、デジタル人材育成の補助金プログラム「マイ・デジタル・ワークフォース・ワーク・イン・テック(MYWiT)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を2021年4月に開始した。

賃金と研修費用の一部補助

本プログラムは、新卒者や失業者のマレーシア人を雇用し、デジタル技術の研修を実施する企業向けに、一定の条件を満たすことで賃金と研修費用の一部を補助する制度で、主に、社内のバックオフィス業務に焦点を当てた「デジタル・ビジネス・サービス(DBS)」と、データサイエンスやソフトウエア開発、サイバーセキュリティーなど需要の高い技術に特化した「デジタル・テック・アパレンティス(DTA)」の2つに分かれる。なお、新卒者向けはDBSのみ、失業者向けは内容に応じてDBSまたはDTAを活用できる。

補助内容は、DBSでは、研修費用として1人当たり最高5,000リンギ(約13万5,000円、1リンギ=約27円)に加え、賃金補助として月額給与の40%を6カ月分支給する。DTAでは、研修費用として1人当たり最高8,000リンギに加え、賃金補助として月1,200リンギを6カ月分支給する。申請条件は、最低払込資本金などのほか、対象となる従業員がマレーシア人であること、最低1年間の雇用を申し入れること、月額給与の最低金額を満たすことなどがある(注)。また、研修費用の補助については、原則としてMDECが取りまとめる「デジタルスキル・トレーニング・ダイレクトリー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に掲載している研修講座を受講することが条件となる。同ダイレクトリーには3種類の講座形態を記載しており、申請するプログラムに応じて選択する。ただし、DBSに関連する研修の場合は、最低40時間の講座であることを条件に、社内研修・トレーニングも対象とすることができる。申請から補助金の認定までには約2カ月かかる。

日系企業では、自社ビジネスや社内業務のデジタル化の推進に当たり、適切な知識やノウハウを持つ人材が不足していることを課題に挙げる企業が多い。本プログラムは、日系企業を含む外資系企業も条件を満たすことで申請できるため、活用を検討することを勧めたい。

(注)申請条件や補助内容についてはMYWiTのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(田中麻理、関淑怡)

(マレーシア)

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