バンコク東部バンナー駅とスワンナプーム国際空港間のLRT整備計画

(タイ)

バンコク発

2021年09月10日

タイのバンコク首都庁(BMA)は9月3日、バンコク東部のバンナー交差点とバンコク東郊のスワンナプーム国際空港を結ぶライトレールトランジット(LRT)整備計画のオリエンテーションウェビナーを開催した。同計画は現在、官民連携(PPP:Public-Private Partnership)事業での実施に向けた調査が行われており、同事業に関心を持つ政府、関係機関、投資家ら約300人が参加した。

同事業は、2013年にバンナー駅~スワンナプーム国際空港間のLRT整備計画に関する実現可能性調査(FS)と初期の詳細設計が実施された。その後、BMAは同計画をPPP事業とする方針を固めたが、同FSにはPPP事業に必要なPPP投資分析調査が含まれていないため、今般、BMAは、改正PPP法(2019)に準拠するため、FSを再評価した上で包括的なPPP投資分析調査を実施し、事業の承認を内閣に提案することとした。本調査は、2021年6月11日から2022年2月にかけて実施される。

本事業は、民間コンサルタントへの委託により、以下のとおり2段階に分けて実施される。

第1期:バンコク中心部から南東にあるバンコク国際貿易展示センター(BITEC)至近のバンナー駅から、東にあるタナシティ住宅団地までの12駅、14.6キロ区間の整備。

第2期:タナシティ住宅団地から北にあるスワンナプーム国際空港(南ターミナル)までの2駅、5.1キロ区間の整備。

LRTとグリーンライン(ヘビーレール)およびイエローライン(モノレール)の接続性(添付資料図:右下赤枠参照)については、グリーンライン・バンナー駅(E13)からスカイウォーク(動く歩道150メートル)を経由し、LRTのバンナー駅と接続される。イエローラインとの接続については、スカイウォークを介して、ワットシーイアム駅(YL13)で乗り換えができる。LRTシステムは、グリーンラインとイエローラインの中継システムとしての機能も期待されている。

写真 バンコク鉄道路線計画図(Rail Department Ministry of Transport提供)

バンコク鉄道路線計画図(Rail Department Ministry of Transport提供)

本事業(第1期)は、4年間の建設期間と30年間の運営期間で構成される。LRTは2029年に運用可能になる予定だ。なお、事業第1期の暫定スケジュールは以下のとおり。

  • 2021年6月11日:調査開始
  • 2022年2月:調査完了予定
  • 2023年:BMAが内閣に承認を提案
  • 2024~2025年:PPP文書が完成し、PPP投資の呼び掛け
  • 2025年:PPP投資家の選定終了。システム試験(4年)を含む建設作業の開始
  • 2029年:第1期が運用開始予定

なお、今回実施されるPPP投資分析調査の内容には、PPP純費用、PPP総費用、正味現在価値(NPV)の観点から利益を分析するPPP修正総費用、財務内部収益率(FIRR)、費用便益比率(B/C比率)、回収期間、損益分岐点などが含まれる。また、本事業は、環境影響評価(EIA)またはEIA専門家委員会の検討を受ける。

今後、サウンディング型市場調査セミナーを2021年11月~12月ごろに開催する予定だ。プロジェクトの詳細については、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(タイ語のみ)で確認が可能だ。

(宮口莉央、デゥアンパニッチ・チュティマ)

(タイ)

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