2021年度第1四半期GDP成長率は20.1%

(インド)

ニューデリー発

2021年09月03日

インド統計・計画実施省(MOSPI)は8月31日、2021年度第1四半期(4~6月)の実質GDP成⻑率(2011年度基準)推計値を前年同期比20.1%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(添付資料表1、2参照)。新型コロナウイルス感染の第2波を受けて、一部の企業活動が制限されていたものの、前年同期の全国的なロックダウン措置に比べると経済への影響が限定的となり、大幅なプラス成長となった。

同四半期の成長率を需要項目別にみると、個人消費を示す民間消費支出が19.3%、企業の設備投資など投資活動を示す総固定資本形成が55.3%となった。2桁成長となったのは、前年同期の需要が歴史的な落ち込みを見せたことによる反動の側面が大きい。新型コロナ禍の中でも、企業活動の制限を限定的にとどめる政策への転換が需要を下支えした。外需の回復を受けて輸出も39.1%と大きく伸びた一方、輸入はそれを上回る60.2%となった。

産業部門別の粗付加価値(GVA)をみると、全部門でプラス成長となった。中でも製造は49.6%増、建設は68.3%増と大幅に伸びた。また、観光省が国内旅行の需要喚起キャンペーンを実施したこともあり、貿易・ホテル・運送・通信・報道関連サービスも34.3%増と5期ぶりに増加に転じた。農林水産(4.5%増)、鉱業・採掘(18.6%増)、電力・ガス・水道(14.3%増)、金融・保険、不動産・ビジネスサービス(3.7%増)はそれぞれ堅調に推移した。

2021年度第1四半期のGDP総額は、新型コロナ感染拡大前に40年以上にわたって経済成長を続けてきた2019年度以前と比較すると、その水準にまでは戻っていない。需要別では、民間消費支出や総固定資本形成が2017年同期値をやや上回る水準だ。部門別では、農林水産、鉱業・採掘、電力・ガス・水道が2019年の同時期の数値を上回った一方、貿易・ホテル・運送・通信・報道関連サービスは同期比では7割程度にとどまっている。

(広木拓)

(インド)

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