感染者数が増加、政府は新型コロナ対策を強化

(オーストリア)

ウィーン発

2021年09月13日

オーストリアのセバスティアン・クルツ首相とボルフガング・ミュックシュタイン保健相は9月8日、全国の州知事と協議した上で、秋に向けての政府の「新型コロナ戦略」を発表した。8月中旬ごろから新型コロナウイルスの感染者数および入院者数が増加しているため、段階的に規制を強化することになった。強化の基準としては、従来の10万人当たりの感染者数ではなく、新型コロナウイルス感染症患者による集中治療室(ICU)の病床使用率が指標となる。

○段階1:病床使用率が10%(200病床)を超える(9月8日時点で180病床、上昇傾向にある)

9月15日から、現時点で公共交通機関などマスク着用義務のある場所では医療用(FFP2)マスク着用義務が再導入される。さらに、小売店ではワクチン未接種者への医療用(FFP2)マスク着用義務が再導入されるが、ワクチン接種完了者に対しては着用推奨となる。3G規則(ワクチン接種証明、回復証明、各種検査による陰性証明書のいずれか)は参加者25人以上のイベントで適用される(現在は100人以上で適用)。抗原検査の有効時間は48時間から24時間に短縮される。

○段階2:病床使用率が15%(300病床)を超えてから7日間後

ナイトクラブ、座席指定のない500人以上のイベントで2G規則(ワクチン接種証明または回復証明)が導入される。自宅でできるセルフ抗原検査は3Gの証明として無効になる。

○段階3:病床使用率が20%(400病床)を超えてから7日間後

抗原検査は3Gの証明として全面的に無効になる。

政府はこの対策について、主にワクチン未接種者を対象に強化したものとしているが、ワクチン接種完了者と未接種者の判別と取り締まりの具体的な方法はまだ公表されていない。無料の新型コロナウイルス検査の提供がいつまで続くかも未定。オーストリア医師会などは、接種率を上げるために検査の有料化を要求している。9月12日時点で、全人口に占めるワクチン接種完了率は59.31%にとどまっているが、政府は引き続き、ワクチン接種の義務化を予定していない。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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