イスマイル・サブリ首相が閣僚名簿を発表

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年09月01日

マレーシアのイスマイル・サブリ・ヤーコブ新首相は8月27日、新たな内閣の閣僚名簿を発表した(添付資料表参照)。閣僚級の大臣は32人(首相を含む)で、副首相を置かず、ムヒディン前政権同様、国際貿易産業相、防衛相、公共事業相、教育相の4人を上級相(Senior Minister)に任命した。省庁担当に一部変更もみられるが、前政権から省庁の名称変更や再編などはしていない。

閣僚の顔ぶれはほぼ変わらず

閣僚は大臣が31人、副大臣が38人となる。イスマイル・サブリ首相は組閣に当たって「安定性と国民の安全を維持する」ことを重視したとして、大臣、副大臣ともに初入閣となる人事は少なく、留任や担当省庁の変更が主となった。大臣職では31人中16人が留任、10人が担当省庁の変更、副大臣職では23人が留任、11人が担当省庁の変更となった。イスマイル・サブリ首相が就任することで、首相の出身政党がマレーシア統一プリブミ党(PPBM)から統一マレー人国民組織(UMNO)へ変更となったが、大臣職の出身政党構成はほぼ前政権から変わらず、わずかにUMNO(11人)がPPBM(10人)を上回った。

今回の組閣に対する有識者の意見では、「予想どおりの組閣」とする声が多かった。マレーシア国民大学のシャムスル・アムリ・バハルディン教授は、ワクチン接種調整担当相を兼任していたカイリー・ジャマルディン前科学・技術・イノベーション相の保健相就任について、「(新型コロナウイルスの)パンデミックの現状では、国家として最適な人事といえる」と評価した(「フリー・マレーシア・トゥデイ」紙8月27日)。産業界では、マレーシア経営者連盟(MEF)が「労務や予算に関わる重大な変更が起こるリスクが少ない」として、財務相と人的資源相の留任に歓迎の意を示した(「マレーシア・キニ」紙8月27日)。

(田中麻理)

(マレーシア)

ビジネス短信 1ea315930a527ed7