防疫対策強化により上海浦東空港で貨物遅延

(中国)

上海発

2021年09月01日

中国では7月下旬に江蘇省で新型コロナウイルスの感染拡大があり(2021年8月6日記事参照)、その後、感染状況は落ち着きつつあるが、江蘇省での感染は、南京禄口国際空港の職員の感染が発端となったことから、民航局が7月31日に「国際空港のさらなる防疫コントロール指導意見」(以下、「意見」)を発表した。

意見では「最前線で働く従業員はシフト制とし、就業期間中には封鎖管理された寮に居住し、勤務先と寮は指定車両で行き来することとし、家族や一般の人との接触を避ける。PCR検査対象および回数を拡充し、ウイルスの種類と状況の変化に応じて、従業員の検査回数を調整する。また輸入貨物の防疫管理についても、輸入先の感染状況によって、リスクレベルに分けて管理する」と規定された。

上海市では、8月2~28日に合計10人の新型コロナウイルスの新規感染者が確認され、うち8人は上海浦東国際空港で海外からの輸入貨物を扱う従業員だった。国際空港職員の厳格管理を規定した意見の発表と浦東空港での感染者確認を受け、浦東空港の貨物取り扱い状況にも影響が生じている。上海市交通委員会の王暁傑副主任は8月20日、「現在、浦東空港の旅客便は順調に運航しており、特段の影響はないが、貨物便にはある程度影響が出ている」と述べた。

現地報道によると、8月20日午後以降、国際貨物運送などの業務を担う浦東空港地上サービス社は業務を全て停止し、再開のタイミングは未定だという。これを受け、カタール航空などが上海市向けの貨物便を広東省広州市・深セン市、河南省鄭州市などの空港に振り向けたほか、香港向けに調整している航空会社もある(「テンセント網」8月23日)。また、上海市からの輸出については、船便でいったん韓国へ運び、韓国から空輸するなど、異なるルートを利用しようとする代理業者の動きも一部でみられる(「通用運費網」8月25日)。

中国に進出する日系自動車関連企業などでは、日本へ輸出する量産部品は主に船便で送っているが、緊急の場合や小ロットかつ高価な部品などは航空便を使用するものもあり、他の空港への振り替えや他のルートでの輸送も検討するとしている。

(侯恩東)

(中国)

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