インフレ率、8月は減速も年末以降に再加速の見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年09月29日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は9月14日、8月のインフレ率〔消費者物価指数(CPI)上昇率〕は、全国平均で前月比2.5%上昇、前年同月比では51.4%上昇したと発表した(添付資料図参照)。2021年の8月までの累計インフレ率(前年12月比)は32.3%となった。

季節により価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは前月比0.6%、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは1.1%、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は3.1%上昇した。

費目別にみると、前月比の伸び率が大きかったのは、教育と医療でそれぞれ4.2%(添付資料表参照)。他方、食品・飲料(酒類を除く)は7月の3.4%から8月は1.5%まで減速し、8月のインフレ率を押し下げる要因となった。

経済省は「単月のインフレ率が3%を下回ったのは11カ月ぶりで、2020年8月以降の最低値を記録した」と説明した。

一方、9月20日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、民間エコノミストらの見通しは、9~11月までは単月のインフレ率が約3%で推移するが、2021年末には約4%へと再度上昇するとの見解で一致している。インフレ再加速の理由について同紙は、「国民の支持を回復するために政府が実施する補助金など支援策の拡充」「(中央銀行による財政ファイナンスに伴う)量的緩和の拡大」「通貨ペソに対する売り圧力の継続」を挙げている。

9月22日付の現地紙「クロニスタ」(電子版)も、「通貨供給の拡大、公定為替レートの(ペソ高の)是正、凍結されている公共料金の見直しによって、来年第1四半期(2022年1~3月)あたりからインフレが加速する。2022年の年間インフレ率は44%となる見通し」とのエコノミストの見方を伝えている。

写真 8月のインフレ率を押し下げた食品・飲料。ブエノスアイレス市内のスーパーマーケット(ジェトロ撮影)

8月のインフレ率を押し下げた食品・飲料。ブエノスアイレス市内のスーパーマーケット(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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