ベハール外相が就任から20日で辞任、後任はマウルトゥーア元外相

(ペルー)

リマ発

2021年08月24日

ペルー大統領府戦略広報室は8月17日のプレスリリースで、エクトル・ベハール・リベラ外相が同日付でペドロ・カスティージョ大統領に辞表を提出し、大統領も了承したと発表した。ベハール外相は2020年11月にリモート形式で行った講演で、ペルーにおけるテロ活動は米国中央情報局(CIA)の訓練を受けたペルー海軍が開始したと発言し、多くの野党から非難を受けていた。ペルー海軍もこの発言に対して8月16日付の同軍プレスリリースで公式に抗議を発表すると同時に、カスティージョ大統領に対しても同様に抗議の申し入れを行った。これに対して、ベハール外相は当初、過去の発言を報道機関がねじ曲げていると反論していたが、最終的に問題の責任を取るかたちで、任命からわずか20日で退任することになった。

これを受けて、カスティージョ大統領は20日、後任外相にオスカル・マウルトゥーア・デ・ロマーニャ氏を任命し、同日付で宣誓式を行った。マウルトゥーア氏はペルーの名門カトリカ大学の人類学学士号と国立サンマルコス大学の法学士号を有する弁護士で外交官、カナダやボリビア、タイ、エクアドルなどのペルー大使を歴任している。また、2005年から2006年にかけては当時のアレハンドロ・トレド政権下の外相も務めた実績がある。同氏の任命を受けて多くの専門家は、ペルーの民主主義外交の復活と、前外相が示唆していたリマグループ(注)脱退の撤回を意味するものだとして歓迎している。

一方で、与党ペルー・リブレ(自由ペルー:PL)党のブラディミール・セロン党首は自身のツイッターで、新外相任命はPL党の意向に反していると発言しており、カスティージョ大統領との意見の相違が露呈している。

(注)リマグループとは、ベネズエラの民主主義回復を支援するために、2017年に生まれたオープンなかたちでフォローするための外相グループ。参加国はカナダ、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、チリ、パナマ、パラグアイ、ブラジル、ペルー、ホンジュラス。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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