イスマイル・サブリ前副首相が第9代首相に就任

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年08月24日

マレーシアのアブドゥラ・リアトゥディン・アル・ムスタファ・ビラ・シャー国王は8月20日、統一マレー国民組織(UMNO)副党首で、前副首相兼防衛相のイスマイル・サブリ氏を第9代首相に任命し、翌21日に宣誓式を行った。

114人の下院議員が支持表明

首相交代の経緯は、8月16日にムヒディン・ヤシン首相が連邦下院で過半数(112議席)の支持を得ることができないとして、国王に辞意を表明したことに端を発した。同日にムヒディン首相の辞任を国王が承諾、内閣総辞職となった。また、次期首相は現役の下院議員から選出することとし、ムヒディン氏を次期首相決定までの期間の暫定首相として任命した。

各政党が17日から18日にかけて次期首相の選出について、それぞれの支持候補を表明した。UMNOはイスマイル・サブリ氏、野党連合の希望連盟(Pakatan Harapan:PH)は人民正義党(PKR)党首のアンワル・イブラヒム氏、マハティール・モハマド元首相が率いる祖国戦士党(Pejuang)は下院の過半数支持を得る者を支持するが、アンワル氏、次いでサバ州元知事のシャフィ―・アプダル氏を優先的に支持すると発表した。

19日にUMNOと汎(はん)マレーシア・イスラーム政党(PAS)による政党連合である国民連盟(Perikatan Nasional:PN)をはじめとする114人の下院議員がイスマイル・サブリ氏を首相として支持すると発表したことを受け、国王は同氏を支持する全ての議員と謁見(えっけん)し、同氏の首相任命を決定した。

イスマイル・サブリ首相は所信表明で、前政権が進めてきた新型コロナウイルスのワクチン接種計画を加速するとともに、失業者、中所得層、中小企業、国内観光業を含む産業の支援に注力すると発言した。23日時点で組閣については未発表となっている。

マレーシアでは、2018年5月の第14回総選挙で建国以降初めての政権交代が実現したが、3年3カ月ぶりにUMNO所属議員が首相に就任することとなった。

(田中麻理)

(マレーシア)

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