ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種も開始

(ラオス)

ビエンチャン発

2021年08月02日

ラオス保健省は8月2日から、国内各地でジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種を開始する旨を発表した。高齢者や医療従事者、疾患を抱える者、隔離期間を終えた帰国労働者などを優先接種の対象とする。

ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンは、米国政府からラオス政府に対し、COVAXファシリティーを通じて供与されたもので、7月16日にラオスに100万8,000回分が到着していた(「ラオシャン・タイムズ」紙7月16日)。これは、ラオスの総人口(約712万人)の約14%へのワクチン接種を可能とする本数で、他国からラオスに供与されたワクチンのうち、1人当たりの供与量としては現時点で最大となる(注)。同社製ワクチンは、現在ラオス国内に流通している4種のワクチン(シノファーム、オックスフォード・アストラゼネカ、スプートニクV、ファイザー)と異なり、1回のみの接種で有効性を発揮する。

全国に先駆けて、ビエンチャン県および南部チャンパサック県では、7月26日からジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの接種が開始された(「ラオシャン・タイムズ」紙7月26日)。ビエンチャン県では6月29日、ラオス国内での市中感染としては大規模な25人の新型コロナクラスターが発生している(「ラオシャン・タイムズ」紙6月29日)。チャンパサック県では、タイから帰国したラオス人労働者が、入国後の隔離期間中に陽性と診断されるケースが相次いでいるほか、散発的な市中感染が発生している。ラオス政府は、複数回の接種を必要としないジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンを、ワクチン接種率が低く、感染拡大が懸念される地方を中心に供給することで、国全体としてのワクチン接種率を引き上げることを企図しているとみられる。

ラオスでは2021年4月下旬から、全国各地で都市封鎖措置が実施されている。都市封鎖は一定の効果を上げているものとみられ、7月24日から30日までの1週間における国内の新型コロナウイルス市中感染例は5件にとどまっている。一方で、帰国労働者の感染件数は増加しており、7月28日には、1日としては過去最大となる280人(うち3人は市中感染)の感染が確認されるなど、帰国労働者の入国が集中する南部を中心に、医療機関や隔離施設の逼迫が危惧されている。

(注)総供与量では、中国が5回にわたって供与したシノファーム製ワクチン計190万2,000回分が最多(「ラオシャン・タイムズ」紙6月14日)。ただし、同ワクチンは2回の接種を必要とするため、接種可能人口は最大でも95万1,000人となる。

(岡田脩太郎)

(ラオス)

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