チリ政府、アフガニスタンからの難民を受け入れ、共同声明も発表

(チリ、アフガニスタン)

サンティアゴ発

2021年08月20日

アフガニスタンの首都カブールに8月15日、タリバンが入ったことを受け、チリ政府は同国からの難民の受け入れを発表した。受け入れについては、人権保護を目的に活動するNGO、フロントライン・ディフェンダーズ(Front Line Defenders)との連携の下で計画されている。タリバンの支配下での身の安全が懸念される人権活動家の女性やその家族が対象として発表されており、チリ大学に在学中のアフガニスタン人学生の親族を含む、計7家庭の受け入れが表明されている。

本件についてセバスティアン・ピニェラ大統領は、記者会見や自身のツイッターアカウントを通じ、対象者の受け入れに国として積極的に対応する姿勢を表明した。また、「アフガニスタンにおいて、いともたやすく民主主義が崩壊した様子は、チリにとっても1つの教訓となるだろう」と発言し、2019年の社会騒乱に乗じた一部集団の破壊活動や略奪行為によって、多大なる被害を被った自国の状況を示唆するような一幕もあった。

一方で、アンドレス・アラマンド外相は、駐留米軍および北大西洋条約機構(NATO)加盟国による連合軍の撤退を契機にタリバンが急速に勢力を拡大した現状について、「国際的な共同体における、非常に大きな政治的な失策で、国内の女性にとって悲劇的な状況を招いた」と述べた。また、「ここ20年間のアフガニスタンにおける国際的な共同体の取り組みは、結局のところ、国家、軍隊、法による支配、民主主義のいずれも生み出すことがなく、大きな失敗だった」とコメントした(「ラ・テルセラ」紙8月18日)。

並行してチリは、8月18日にスペイン、米国自治領プエルトリコおよび中南米10カ国(注)と共にアフガニスタンにおける女性の人権保護に関する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。これは、同日付で出されたEUや米国などの21カ国・地域による共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに賛同するもので、アフガニスタンにおける女性の権利が侵害されることを懸念して作成された。

(注)アルゼンチン、コロンビア、コスタリカ、キューバ、エクアドル、グアテマラ、メキシコ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ。

(佐藤竣平)

(チリ、アフガニスタン)

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