企画財政部、最近の韓国株式市場・外国為替市場の動向分析

(韓国)

ソウル発

2021年08月30日

韓国企画財政部は8月23日、マクロ経済金融点検会議を開催し、最近の韓国の株式市場と外国為替市場の動向を分析した。

会議では、国内株価の下落(注1)や通貨ウォン安(注2)など金融市場の変動性がやや拡大していることについて、(1)メモリー半導体の現物価格の下落や在庫増加により、一部の投資銀行が関連株の目標株価の下方修正や業績展望の見直しを実施したこと、(2)新型コロナウイルスの影響に不確実性がある中、安全資産への資金流入に伴うドル高や7月の米国連邦公開市場委員会(FOMC)議事録による早期のテーパリング(量的緩和の縮小)への警戒感(注3)があることが原因と評価した。

企画財政部のイ・オグォン第一次官は国内金融市場の変動性の拡大について、以下の理由により「国内外の市場状況と韓国経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)などを考慮すれば、過度に反応する必要はない」と強調した。

1.最近の外国人投資家の株式売却は、国内経済全般に対する懸念ではなく、世界的な半導体市況によるもの。

2.韓国経済の対外信頼度と対外健全性(注4)は良好であり、財政の健全性(注5)も主要国に比べて良好。

3.堅調な経済のファンダメンタルズに支えられ、上半期のKOSPI上場企業の業績は前年から大きく改善。

また、同氏は、韓国経済のファンダメンタルズは堅調なものの、国内外での新型コロナウイルス感染再拡大や米国のテーパリングに関する不確実性がある中、今後、金融市場の変動性がさらに拡大する可能性が排除できないといった見方もあり、金融市場の不安が実体経済に否定的な影響を及ぼさないようモニタリングを強化し、必要な場合は市場安定化措置を積極的に実施するとした。

(注1)総合株価指数(KOSPI)は期末基準で3,202.3(2021年7月)、3,270.4(8月1週)、3,171.3(8月2週)、3,060.5(8月3週)で推移している。

(注2)ウォンの対ドルレートは期末基準で、1ドル=1,150.3ウォン(2021年7月)、1,142.1ウォン(8月1週)、1,169.0ウォン(8月2週)、1,179.6ウォン(8月3週)で推移している。

(注3)8月18日の米国FOMC議事録によると、ほとんどの委員が「経済状況が予想どおり進展した場合、今年からテーパリングを開始することが適切」と発言している。

(注4)信用格付け(ムーディーズ)はAa2、2021年7月末の外貨準備高は4,587億ドルに達している。

(注5)2020年の一般政府負債のGDP比は48.7%%。

(当間正明)

(韓国)

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