アフガニスタン情勢が周辺国に与える影響は未知数

(ロシア、中央アジア、アフガニスタン)

モスクワ発

2021年08月17日

アフガニスタン情勢の急変に対し、ロシアが関心を強めている。過去にも、離接する中央アジア諸国の不安定化、さらにはロシア国内のテロ活動へと波及したためだ。

8月15日のタリバンによる首都カブール進攻を受け、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領と電話で会談。ハイレベルでの2国間協議の継続で合意した。

ロシアは8月5日から10日にかけて、タジキスタンのアフガニスタン国境付近でウズベキスタンを交え、テロリスト侵入阻止を主目的とした3カ国の共同軍事演習を実施した(タス通信8月16日)。さらに、タジキスタン・アフガニスタン国境管理近代化向けの金融支援が協議されており、近く合意の見通しとされる(ロシア国営放送8月15日)。

ロシアは水面下で、タリバンとの接触を続けているとみられる。外務省のザミル・カブロフ第2アジア局長は「移行期の政府と協力する準備はあるが、タリバンをアフガニスタンの正当な政権と認めてはいない(注)」とする(ノーボスチ通信8月15日)。

ロシアなどへの影響については見方が分かれる。1つの見方は、ロシアや中央アジア・コーカサス地域でのイスラム原理主義の動きの拡大、情勢の不安定化が進むというものだ。モスクワ大学のアンドレイ・マヌイロ政治学部教授は「権力を掌握することと政権運営を行うことは別物」として、円滑な政権移行や経済運営、諸外国との関係構築は不透明との見方を示した(レンTV8月15日)。

他方で、当面は大きな不安定要因にはならないとの見方もある。サンクトペテルブルク総合大学のアレクサンドル・クニャゼフ国際関係学部教授は「アフガニスタンは周辺国から電力、食料などの輸入が必要で、タリバンは周辺国との関係を悪化させる動きには出ないだろう」と予測する(独立新聞8月15日)。

(注)ロシアでは、タリバンは過激派、テロリスト集団とされ、国内では活動禁止団体。

(梅津哲也)

(ロシア、中央アジア、アフガニスタン)

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