ブラジル大手航空アズール、ドイツ企業と提携、ESG伴う空の新移動手段導入へ

(ブラジル、ドイツ)

サンパウロ発

2021年08月16日

ブラジルの大手航空会社アズールは8月2日、ドイツのスタートアップ企業リリウムとの戦略的パートナーシップ計画を発表した。同日付のプレスリリースによると、計画の目的は、リリウムが開発した垂直離着陸可能な電動小型航空機〔イーブイトール(eVTOL)〕をブラジルで導入し、2025年に短距離フライトで運航を開始し、大都市圏や観光都市間、住宅と空港などへの移動をしやすくすることだという。

アズールはリリウムから220機のeVTOLを購入する。リリウムにはeVTOLの購入を含めて総額10億ドルの投資が見込まれるという。8月2日付の現地紙「バロール」によると、同機体は運転手を除く6人乗りで航続距離は約240キロ。10日付の同紙は、同じくeVTOLを開発しているエンブラエルグループの「イブ(Eve)」の機体は4人乗りで航続距離もリリウムの機体より短いと報じている。

さらに、アズールは今回の計画によってESG(環境・社会・企業統治)体制を強化することも目指している。アズールの2日付プレスリリースによると、リリウムの航空機は電気のみで飛行し、二酸化炭素(CO2)の排出量はゼロだという。

国家航空庁(ANAC)によると、8月1日時点でブラジルには、1,299カ所のヘリパッドが存在し、そのうち590カ所はサンパウロ州、201カ所はサンパウロ市に設置されている。全国のヘリコプター機数は2,706機で、うち881機はサンパウロ州で登録されている(7月16日時点)。日本の国土交通省のデータを見ると、ヘリコプターなどを含む回転翼航空機の数は2021年6月時点で842機となっており、サンパウロ州だけで日本全国の登録航空機数を上回っていることが分かる。

(エルナニ・オダ、古木勇生)

(ブラジル、ドイツ)

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