アフガニスタン情勢をめぐり、内務相が難民収容施設の設立を提案

(オーストリア、アフガニスタン)

ウィーン発

2021年08月20日

アフガニスタン情勢の急変に対し、オーストリアのアレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領は8月17日、「(アフガニスタンの)民主主義と国民の人権が損なわれる恐れがあると憂慮している。オーストリアとEUはアフガニスタン人、さらに退去しようとする人々やアフガニスタン在住のオーストリア人が安全に国境を通過できるように支援することが責務だ」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

また同日、アレクサンダー・シャレンベルグ外相(国民党)は「EU加盟国と連携を取り、アフガニスタンに取り残されたオーストリア人を救出することに尽力する」と述べた。25人のアフガニスタン在住オーストリア人、20人のオーストリアの滞在許可を所有するアフガニスタン人を救出するため、早急に危機対応チームをカブールに派遣する考えを示した。

一方、カール・ネハンマー内務相(国民党)は8月18日にオンラインで開催されたEU内務相理事会の非公式臨時会合で、アフガニスタン周辺に難民収容施設を設立するよう提案した。難民受け入れには断固反対の立場を貫いている。また、同内務相は、欧州委員会のイルバ・ヨハンソン委員(内務担当)が、アフガニスタンからの難民を加盟国が受け入れるよう要請したことに対し、「ヨハンソン委員の対応は完全に誤りで、2015年の難民問題の過ちを繰り返すべきではない」と批判した。

国民党所属の外相と内務相が明確な声明を発表する一方、現時点で連立政権およびセバスティアン・クルツ首相の公式声明は発表されておらず、連立政権パートナーである緑の党の一部議員や一部地方から、難民受け入れ賛成の意見が聞かれるのみで、ウェルナー・コグラー副首相(緑の党)も沈黙している。

(田中由美子)

(オーストリア、アフガニスタン)

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