トルドー・カナダ首相、バイデン米大統領と電話会談、米インフラ投資計画法案に懸念を表明

(カナダ、米国)

米州課

2021年08月10日

カナダのジャスティン・トルドー首相は8月2日、ジョー・バイデン米国大統領と電話会談を行った。両者が会談を行うのは、6月に開催されたG7首脳会議以来となった。カナダ政府によると、両首脳は新型コロナウイルス対策やエネルギー安全保障、労働・環境基準、政府調達、国境問題、中国で現在拘束されている2人のカナダ人の解放などについて協議した。

米国との国境の通行制限について、カナダ政府は8月9日から新型コロナウイルスワクチン接種を完了した人に限り解除することを発表しており(2021年7月21日記事参照)、今回の会談では、陸路での国境制限措置において引き続き緊密に協働することに合意したことを明らかにした。一方、米国ホワイトハウスの公表資料をみると、国境制限について言及されていなかった。また、トルドー首相は両国の労働・環境基準の整合性、開放された政府調達市場の恩恵を強調したが、米国側の公表資料では、両国の経済の強靭(きょうじん)性・競争力を強化するための共通のコミットメントについて協議したとの記述にとどめている。

米上院が7月28日、1兆ドルの超党派インフラ投資計画法案の審議を開始したが(2021年7月30日記事参照)、トルドー首相は、今回の首脳会談の中で同法案に対する懸念を伝えたと報道されている(CBCニュース8月3日)。同法案は米国企業やサプライヤーを優先することにつながることから、カナダのメアリー・エング中小企業・輸出振興・国際貿易相はCBCのインタビューで、「カナダ以上に優れたパートナーはいない。われわれは経済回復という共通の使命を担っていることを米国に伝えていく」と述べた上で、両国のサプライチェーンがいかに密接につながっているか、米国にとってカナダがいかに重要かを示す取り組みを進めているとした。

(大塚真子)

(カナダ、米国)

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