2025年に世界5大ワクチン大国目指し、「K-グローバルワクチンハブ化ビジョン」公表

(韓国)

ソウル発

2021年08月10日

韓国保健福祉部は8月5日、「K-グローバルワクチンハブ化ビジョンと戦略」を発表した。2022年上半期までに国産の新型コロナウイルスワクチンを開発し、2025年までにグローバルワクチン市場で世界第5位以内を目指すため、3つの推進戦略の下、2021年下半期から2026年までに計2兆2,000億ウォン(約2,200億円、1ウォン=約0.1円)を投じる。

1.推進戦略1:国産新型コロナワクチンの迅速な開発

政府は現在進行中のワクチン開発(注1)を推進し、特に、第3相臨床試験のコスト負担や臨床承認期間を半分に短縮するなど、多様な支援を行う。

2.推進戦略2:グローバル生産協力の強化

政府は主要先進国との間で、ワクチンのグローバル生産の協力を強化する。特に、ワクチン製造の原・副材料など(注2)の円滑な供給確保のため、韓米間の需要・供給企業の連携などを進め、企業間の協力を支援する(注3)。

3.推進戦略3:グローバルワクチン基地の迅速な構築

政府は国内でのワクチン原・副材料や生産設備拡充のため、(1)1社当たり最大30億ウォン(2021年は全体で180億ウォン)の支援、(2)ワクチン開発・生産の重要な技術を国家戦略技術に指定し、税制面で優遇、(3)低利融資などの資金調達支援、(4)外国企業へのインセンティブ付与と投資誘致、(5)特許審査期間の短縮、(6)人材育成プログラムなどを包括的に実施する。

「K-グローバルワクチンハブ化ビジョンと戦略」の実施体制となる官民合同の「グローバルワクチンハブ化推進委員会」(委員長:首相)が8月5日開催され、出席した文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「ワクチンを半導体や二次電池とともに、『3大国家戦略技術』に指定する」と強調した。また、世界的にデルタ型変異ウイルスの感染が拡大していることに関し、「ワクチン供給の世界的不平等が深刻化する中、グローバルワクチンハブ化ビジョンを通じ、韓国が問題解決の先頭に立つ」との決意を表明した。

(注1)現在、7社による新型コロナワクチンの臨床試験が進行中。SKバイオサイエンスは2021年6月28日に第3相臨床試験計画の承認を申請。

(注2)mRNAの分子をカプセル化するための脂質ナノ粒子などの需給が逼迫している。

(注3)米国以外では、英国やドイツ、カナダ、オーストラリアなどとの協力を強化する。

(当間正明)

(韓国)

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