アフガニスタン在留フランス人の退避は成功、欧州への不法移民流入を懸念

(フランス、アフガニスタン)

パリ発

2021年08月19日

フランスのジャン=イブ・ル・ドリアン欧州・外務相は8月18日、「(アフガニスタンの首都)カブールからの退避作戦を継続しており、17~18日未明にカブールから(アラブ首長国連邦の)アブダビに向けたチャーター機(軍用機)で216人(フランス人25人、アフガニスタン人184人、その他7人)を退避させた」との声明を発表した。これにより、カブールのフランス大使館の建物内に避難していたフランス人とアフガニスタン人の大部分の退避に成功し、大使館業務は空港内に移動したという。

この発表に先立ち、エマニュエル・マクロン大統領は16日、アフガニスタンの現状に関するテレビ演説を行った。2001~2014年に行われたフランスによる軍事介入を「テロの脅威と戦うという明確な目的のため」と位置づけ、「軍事介入は国民の主権を代替するものではなく、外部から民主主義を押しつけるものでもなく、国際的な安定とわれわれの安全を守る使命を担ったもの」とした上で、「最優先の緊急課題は、在留フランス人とフランスのために働いたアフガニスタン人の安全確保」とした。

その上で大統領は「国連安保理の支援の下、イスラム過激派と戦い、アフガニスタンの政情不安定化による欧州への不法移民の流入から欧州を守るために、他の欧州諸国や同盟国と連携する」と強調した。

マクロン大統領の発言に対し、グルノーブル市長でヨーロッパ・エコロジー・緑の党(EELV、左派)所属のエリック・ピオル氏は「マクロン大統領はフランスの恥だ。グルノーブル市はアフガニスタンの難民を受け入れる」と発言するなど、論争を巻き起こしたが、ジェラール・ダルマナン内務相は「2018年以降、アフガニスタン人はフランスへの亡命権の一番の受益者」として、不適当な議論だと非難した。

(奥山直子)

(フランス、アフガニスタン)

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