国家発展改革委、深センの先進的施策リスト発表、他都市の追随奨励

(中国)

広州発

2021年08月16日

中国の国家発展改革委員会(発改委)は7月29日、「深セン経済特区のイノベーションにかかる取り組みと経験的アプローチから学び推進することに関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。この通知は国内各地の発改委に宛てたもので、深セン経済特区の先進的な取り組みの共有を目的とし、他都市の追随を促す内容となっている。

通知は本文と別添リストで構成し、リストでは深セン経済特区がこれまで実施してきた5分野47項目の施策を整理している。

5分野は以下のとおり。

  1. 「基礎研究+重要な技術的課題の解決+成果の産業化+科学技術分野の金融支援策+人材サポート」全過程のイノベーションエコシステム形成
  2. 実体経済の高いレベルでの発展を健全に促進するメカニズム構築
  3. 法規メカニズムの結合に重点を置いた制度面の開放についての新局面構築
  4. 高水準な均衡が取れた公共サービス提供体制革新
  5. 都市管理推進システムの革新と管理能力の現代化

具体的施策として、「1」は、副業・兼業の奨励による高等教育・研究機関と企業間の人事交流促進、「2」は、第5世代移動通信システム(5G)網の整備によるインダストリアルインターネット技術の応用促進、「3」は、深セン経済特区知的財産権保護条例の制定による知財保護の強化などの施策などを列記、科学技術・産業政策から住民向け公共サービスに関する取り組み、都市の緑化や防災・減災といった都市政策に至るまで、多岐にわたる施策をリストに挙げている。

今回の通知は、これらの深セン経済特区の先進的取り組みを模範とし、中国各地の都市がそれに学ぶよう求めている。

香港のシンクタンクは通知について「発改委が深セン経済特区の取り組みを総括、全国への普及を図る初めての試みとなる。深セン経済特区の取り組みに対する中央政府の高い評価と、その模範的な役割を重視する姿勢を見て取れる」とコメントしている(中国銀行香港金融研究院8月3日)。

深センは1980年に経済特区に指定されて以来、約40年にわたって改革開放政策の試験場として位置付けられており、2019年には国務院が「中国の特色ある社会主義先行モデルエリア」に指定している(2019年8月26日記事参照)。

(小野好樹)

(中国)

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