7月のカナダCPI、前年同月比3.7%上昇、2011年以来の大幅な伸び

(カナダ)

米州課

2021年08月25日

カナダ統計局が8月18日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.7%上昇となり、2011年5月以来の大幅な伸びとなった。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は2.8%上昇した(添付資料図参照)。前月比では、CPIは0.6%上昇し(6月:0.3%)、2021年1月以来に伸びが加速した。コア指数は0.4%上昇した(6月:0.3%)。

項目別に前年同月比でみると、主要8項目のうち6項目で価格上昇率が前月を上回った。特に高い伸びを示した項目は、輸送サービス6.6%上昇(前月5.6%)、住居費4.8%上昇(4.4%)などが挙げられる(添付資料表参照)。中でも住宅価格は上昇傾向にあり、住宅購入費は13.8%上昇と1987年10月以来最大の上昇率を記録した。ガソリン価格は30.9%上昇で前月(32.0%)を下回った。世界的に需要が増加しているものの、OPECと非加盟主要産油10カ国から成るOPECプラスによる石油生産量が新型コロナウイルス感染拡大前の水準を下回っており、前月比では3.5%上昇となった。他方、衣料品・履物1.0%(1.1%)、酒類・たばこ・娯楽用大麻1.7%(1.9%)は、6月に比べて伸びが減速した。

今回の結果について、BMOキャピタル・マーケットのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「CPIはインフレがまだ終わっていないことを示した。(7月の)数字は予想をはるかに上回った」と述べている(ロイター8月18日)。

インフレ率についてカナダ中央銀行は、新型コロナウイルスの影響により年内は高止まりが予想されるとし、2021年後半から2022年にかけて緩和され、2024年に目標水準の2%に戻るとの予測を示している。カナダ中央銀行のティフ・マックレム総裁は「一時的な物価上昇が持続し、より恒常的なものになった場合、中銀はインフレを抑制するために行動する」と述べている(グローバルニュース8月18日)。

(大塚真子)

(カナダ)

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